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第1回 注文建築で家を建てる流れ

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めての家づくりであれば、何から手をつけるべきかもわからないという人は多いものです。
注文建築で家を建てるときの流れを把握することが、失敗しない家づくりの第一歩です。

建築会社にも大手ハウスメーカーから小さな工務店まで様々な会社があり、また、施主の考えや条件も様々ですから、必ずしも誰もが同じように進められるわけではありません。ここで示す注文建築で家を建てる流れは、最も基本的な流れであることを理解し、個々の事情に合わせて臨機応変に対応すべきことがあることを理解しておきましょう。

注文建築で家を建てるときの基本的な流れは以下の通りです。

  1. ライフプラン・資金計画の検討
  2. 住みたい家のイメージ作り
  3. 土地探し
  4. 予算・資金計画の再検討
  5. 建築会社選び
  6. 工事請負契約を結ぶ
  7. 住宅ローンの申し込み
  8. 詳細プランの打合せと決定
  9. 着工
  10. 建築途中の現場確認
  11. 完成
  12. 引渡し

この流れについて、もう少し以下で詳しくご案内します。

1 ライフプラン・資金計画の検討

マイホームが欲しいと考えはじめて最初にすべきことは、資金計画の検討です。用意できる自己資金、無理なく返済できる住宅ローンの借入金額、そしてこれらから計算される総投資金額です。家を建てるとなれば、土地の取得費用、建築費用、諸費用が必要です。これら全てに投資できる金額がいくらであるか検討するところから家づくりは始まるのです。

住宅取得は、多くの人にとって人生のなかで非常に大きなライフイベントです。今の家計、これからの家計、収入と支出といったことを1つ1つ慎重に考えて、マイホームを取得する時期、注文建築でよいのか、建売ではだめなのか、中古住宅ではだめなのかといったことも含めて考えましょう。
大きな支出としては、子供の教育費、老後の生活費などもありますが、そういったことまで考えたいものです。場合によっては、ライフプランを検討するプロであるファイナンシャル・プランナーへの相談を活用することも考えましょう。

2 住みたい家のイメージ作り

家づくりをすると決めたとき、まず取り組みたいことはどのような家に住みたいかを真剣に考えることです。ご夫婦、ご家族がそれぞれに考え、ときには一緒に考えを出し合い、自分たちの住まいへのイメージを創り上げていきましょう。

何もこのときに考えたイメージに固執する必要はありませんが、まだ家づくりや建築に関する知識(制約・規制など)がない状態で考えておくことは大事な作業です。
また、建築会社の営業担当や設計者と会ってから、具体的に考えていくときには、どうしても相手次第ではペースを握られすぎて、自分たちの住みたい家を自己中心的に考えられなくなってしまうことがありますから、建築会社などと接点を持つ前から考えておくのは良いことであり、必要なことです。

3 土地探し

土地探し

既に自分たちの土地がある人を除いて、土地探しから始めなければならない人は多いでしょう。希望のエリア、大きさ、価格帯を考慮して、不動産会社に相談しましょう。実は、この土地探しが一番難しいということはよくあることです。

先に建築会社を決めている人もいます。そして、その建築会社から紹介された不動産会社に土地探しを依頼することもありますが、1社だけに任せずに他にもあたる方が早期に土地を見つけるには近道です。

4 予算・資金計画の再検討

土地を購入する段階で、もう一度、資金計画および全体の予算について見直してみましょう。土地探しの段階で想定と異なってしまうことも少なくないからです。土地の購入資金が予算を大きく超えるようであれば、建物にかけられる金額を抑えなければなりません。もちろん、その逆もありうることです。

建物にかける資金のことを考えれば、可能な限り土地に割く予算は大きな変更のない範囲にしておきたいものです。

5 建築会社選び

土地が決まれば、次にどの建築会社に建築工事を依頼するか検討しなければなりません。この建築会社選びもまた大変な作業です。土地探しは、物件情報を提示してもらうところまでは不動産会社が動きますが、建築会社選びは自分たちで多くの時間を割いて動かなければなりません。

5-1.展示場・相談窓口等で複数の建築会社にあたる

建築会社は住宅展示場へ見学に行くところから知ることが多かったのですが、今ではハウスメーカーの斡旋をする窓口を活用する人も増えています。相談窓口は、紹介先からの広告料や紹介料で成り立っているわけですから、全て施主側にたって意見やアドバイスをしてくれるとは限りませんが、建築会社との接点の持ち方として1つの手段にはなるでしょう。

また、知人・友人などから紹介してもらうこともあります。その場合でも紹介だけに頼らず、自分たちで建築会社探しのために動く必要もあります。

5-2.プランを提示してもらう

いくつか気になる建築会社を選んで、ラフプランを提示してもらいましょう。自分たちの住まいへの希望(間取りなど)を伝えて、プランの提案を受けるのです。もちろん、このときには予算を伝えたうえで依頼するのですが、ラフプランの提示とともに概算見積り金額を提示してもらうとよいでしょう。

5-3.相見積もりをとる

何度か複数の建築会社からプランの提示を受けつつ、見積りも提示してもらいます。必ず複数の会社とこのやりとりをして、相見積もりをとるようにしなければなりません。施主の立場としては、建築会社に競争原理を働かせることも大事ですが、見積り書や提案されたプランを見る目を養うこともできるメリットがあります。

5-4.建築会社を絞り込む

各社のプランや見積りなどの条件から、どの建築会社に依頼するのか絞りこみます。このとき、できるだけプランを具体的に打合せて図面や仕様書を作成してもらい、詳細な見積書も用意してもらうべきです。

6工事請負契約を結ぶ

前述の図面・仕様書・見積書をよく確認したうえで、選んだ建築会社と工事請負契約を結びます。見積りやプランがほとんど決まっていない段階で、先に契約だけでもしてほしいと頼まれてサインしてしまう人が意外と多いですが、そのような建築会社は信用できません。
建築会社を絞り込む段階で、必ず図面・仕様書・見積書を提示してもらいましょう。また、この段階で手付金を支払います。

7 住宅ローンの申し込み

住宅ローン

建築費も決まれば、この段階で住宅ローンについても詰めておかなければなりません。融資額、借入する金融機関、返済方法などを考慮して、住宅ローンの審査申し込みをします。住宅ローンの審査申し込みは1つの金融機関に限定する必要はありませんので、気になるところ2~3行に申し込みしてもよいでしょう。

8 詳細プランの打合せと決定

建物の詳細なプランを決めて、それを盛り込んだ設計図書を作成してもらい、その見積書も提示してもらった上で建築会社と工事請負契約を結ぶことが施主側の理想の手順です。しかし、建築会社側は詳細な設計にコストをかけた後に受注できないリスクを考慮して、契約前には詳細な設計まではしてくれないことが多いです。
施主としては、第1候補の会社には契約前の設計をできる限り詳細なところまで依頼し、その見積りを確認したうえで契約するように心掛けましょう。その上で、この段階において細かなプランについて打合せを進めてプランを確定させましょう。

9 着工

プランが決まれば、いよいよ着工です。着工する前には、建築確認申請が必要ですし、希望によっては長期優良住宅の申請や住宅性能表示の申請なども必要となります。これらの制度については、建築会社との打合せ段階から説明を受けておくとよいでしょう。
地鎮祭をするかどうかも事前に考えておき、実施するならば早めに段取りしなければなりません。建築会社に段取りしてもらうことが多いですが、この相談も早めにしておきましょう。

10 建築途中の現場確認

工事が始まってからは、気になって現場へ見学に行くこともあるでしょう。邪魔をしないよう適度に気遣いしながら、工期の遅れがないか確認しておきたいものです。また、工事の節目では建築会社から進捗や、建物の構造・施工品質などについても報告を受けたいものです。
こういった報告を建築会社側から施主に積極的に行うこともあれば、施主から要求しない限り、何もしない業者もあります。着工前には、そういった対応の有無についても確認しておき、進捗・施工品質などの報告をもとめましょう。
施工品質については、施主が選んだ検査会社に検査を依頼する方法もあるので、活用を検討しましょう。
なお、契約内容によっては上棟後などのタイミングで中間金を支払うこともあります。支払い時期や金額については、契約時によく確認しておきましょう。

11 完成

建物の完成です。建物本体工事と外構工事を別の会社に依頼するケースも多いですが、外構工事は建物本体工事の完成後に行うことが一般的です。 完成時には施主が完成検査を行います。これは非常に大事なもので、発注した通りのプランで完成しているか確認すること、また施工品質に問題ないか確認することを怠ることのないようにしましょう。不具合などがあれば、補修を求め、補修完了後には再度確認することも大事です。

12 引渡し

完成後の施主による完成検査と補修工事が完了すれば、遂に引渡しです。引渡しの際に、残代金を支払い、施主が所有権を得ることになります。 以上が一般的な注文建築で家を建てるときの流れです。取引を進める過程で、わからないことがあれば、この基本に戻って確認しながら進めてください。

荒井 康矩 このコラムの執筆者
荒井 康矩(アライ ヤスノリ)
2003年より住宅検査・診断(ホームインスペクション)、内覧会同行、住宅購入相談サービスを大阪で開始し、その後に全国展開。(株)アネストブレーントラストの代表者。

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