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第24回 比較コラム 「外壁仕上げ モルタルVSタイルVSサイディング」

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回のテーマは外壁の仕上げ材です。ハウスメーカー各社によって仕上げ材の違いはありますが、木造では主に「モルタル仕上げ」または「タイル仕上げ」で、鉄骨造では「タイル仕上げ」または「オリジナル建材」というような棲み分けでしょうか。

外壁で差別化を特に推し進めているのが、積水ハウスとヘーベルハウスでしょう。

積水ハウスはダインコンクリートとシェルテックコンクリート、ヘーベルハウスはALCに吹付という独自の商品で消費者にアピールしています。

写真、積水ハウスのシェルテックコンクリートは耐火仕様です。タイルや石も採用できますからデザイン性は高いと言えます。次の写真はヘーベルハウスです。

ヘーベルハウスはALCコンクリートを採用していますので、一見してそのデザインが判別できますね。基本的にタイルや石貼りなどは出来ない為、ALCの目地模様や吹付のカラーで外壁にアクセントをつけていきますので、正直デザインの自由性では若干見劣りします。

ただ、ALCとALCの間のシーリングを施工した後に吹付塗装を実施しますので、経年劣化で目地の汚れがあまり目立たないという利点があります。

積水ハウスのような後入れのガスケットなどは、経年での汚れもそうですが、止水性も含めてメンテナスの面で不利という面は否めません。

写真は同じ鉄骨系のダイワハウスです。こちらもガスケットにて止水をしますが、よくある指摘としてガスケットの挿入不備が挙げられます。

成形品である外壁は、段差や隙間などが生じやすく美観を損なう場合も見受けられます。

他の外壁の仕上げ材で言えば、モルタル・タイルが一般的ですね。

モルタルは昔ながらの左官工事で外壁を構成しますが、上手・下手が正直あります。特に色むらなど、職人の熟練度によって見栄えは変わってきてしまいます。

写真は住友林業ですが、塗料には骨材が入っていて重厚感がありますね。

次の写真は三井ホームです。

湿式の左官仕上げにタイル貼りという仕様もよく見かけます。

住友不動産は特にこれと言った仕様ではなく、割とフレキシブルに計画しているようです。写真はサイディング張りですね。

サイディング材は、厚みや表面加工によってグレードが分かれていますが、どうしても目地部のコーキングなど定期的なメンテナンスは必須となります。

鉄骨造に話を戻すと、パナソニックホームズはキラテックという光触媒のタイルです。

光触媒は、紫外線を利用して自浄作用を持つ製品ですから、日が当たらない方位だと汚れが落ちにくいということもありますので、ご自身の計画地の周辺環境の確認が必要です。

総じてですが、外壁に期待する性能は「耐震」ではありません。

主に、防水(止水)性、耐久性、遮熱性、遮音性、火災時の耐火性能といったところです。勿論、見栄えも大切ですが、上記の性能を持ったうえで経年ごとのメンテナンスのしやすさなどをきちんと理解してから選択するのが重要です。

次回は屋根形状について解説したいと思います。

市村崇 このコラムの執筆者
市村崇(イチムラタカシ)
一級建築士・ホームインスペクター。大手HMの現場監督を経て2007年に設計事務所・工務店を設立、10年間で500棟以上の施工管理を行う。2013年に(社)住まいと土地の総合相談センター副代表に就任。建築トラブルを抱える多くのクライアントの相談に乗る傍ら「絶対に後悔しないハウスメーカー&工務店選び 22社」など多くの本を企画、執筆している。

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