広告を掲載

第1回 今までは断熱するのが非常識。これからは断熱するのが常識!!

  • facebook
  • twitter
  • hatena
  • LINE

を建ててみたい!と思い立ったその日から、住宅展示場をまわってみたり、色々な雑誌をみてみたり、はたまたインターネットで情報を収集したりと、様々な方法で「果たして自分は家を建てられるのだろうか?」「どんな家が良いのだろうか?」と調べまわる日々が続いていると思います。

10年前と比べて今では色々な情報を得る手段が出てきました。私が今の仕事を始めた頃はまだまだインターネットも創世記で、あまり沢山の情報が出ていない状況でした。そんな状況から一変して、今では様々な情報が直ぐに手に入るばかりでなく、インターネットやSNS上での“炎上”を意識する企業が、以前よりも随分“まとも”になってきたように感じています。

しかし、そんな情報過多な現在においても、1人のひとが消化できる情報の量には上限があって、どこに重きを置くべきなのかを絶対的な自信をもって「こうしたい」と言える人は少ないのではないでしょうか。

逆に思い切って「兎に角お洒落な家に住みたい!!」と決めて探してみても、探しているうちに“耐震”やら“高断熱”やら“税金”“防犯”・・・・ 様々な言葉が出てきて惑いが出てくる人もいるのではないでしょうか。

私はこの“惑い”こそ家づくりを楽しむ秘訣だと思っていますが、私のようなマディスティック(?)な人は意外と少ないようで、真剣に悩んでしまう方の方が多いようです。

そんな方々のために私は“住宅みちしるべ”と言う1級建築士事務所を立ち上げたのですが、今回のコラムではこれから家を建てるのであれば、まず間違いなく知っておかなければ後から後悔するであろう、【断熱・気密】【省エネ・健康】についてのお話をさせて貰おうと思っています。

今回のコラムの内容が、家づくりを考える際の選択肢の1つとなり、優先順位を考える際のお役に立てばと思っています。

2020年に日本で初めて、新しく家を建てるために“断熱”をすることが義務になります※1。これは、家を断熱して魔法瓶のようにすることで、屋内で使用する暖房や冷房に必要なエネルギーの量を減らして省エネする目的で義務化されます。

ここで大切なのは、断熱をすることの重要性が増すということよりも、むしろこれまで家を断熱することは“必須でなかった”という事実です。つまり、基本的には断熱が無くても家を建てることは合法だったのです。

だからこれまでは、家を提供する側が、断熱が入っているかどうかをわざわざ説明する必要性も特にありませんでした。なので殆ど過去に建てられた住宅には断熱が入っていないのが現状※2です。

ここ最近では、情報革命と言われはじめて久しく、AI(人工知能)だのIOT(モノのインターネット)だの、スマートフォンだの自動運転車だのと、今まで近未来とされてきたようなことが実現化しつつあります。そんな昨今の目覚ましい発展のなかで、日本ではまだまだ住宅の断熱が貧素な現実も同時に存在します。

私は約10年前まで前職で4年間フィリピンに住んでいたことがあります。当時は日本と比べると途上国と言う表現が致し方ないと言う感覚の国で、交通整備はままならず、通信状況も至って乏しく、物価は日本の10分の1程度でした。そんな中でも、何故かバイクと携帯電話は借金をしてでも購入する人が多く、そのアンバランスさをよく不思議に思っていたものでした。

今の日本の断熱住宅事情はヨーロッパの先進国やアメリカ、カナダの人々からすると同じような感覚に陥るのではないかと私は思っています※3。

イギリスではHHSRS※4というシステムが運用されていて、住まい手の健康のために断熱されていないアパートは、貸主が断熱を強化し、冬でも屋内を適温に保つように公共機関が改善命令できるようになっています。

日本では暖房設備を導入することさえ義務化されておらず、大きな違いがあるのです。日本では今まで断熱しないことが常識でした。しかし、そんな日本の習慣は世界においての非常識だったのです。

では、私が何故ここまで「断熱が重要で必須のもの」というのかと言えば、冬場の室内の温度が健康と密接な関係が存在することが最近の様々な調査によって分かってきたことに起因します※5。

この分野において最も先駆的で有名な調査としては、私がお世話になっている近畿大学建築学部の岩前篤教授による調査で、住宅の断熱性能が高い家に住めば住むほど、自己申告による手足の冷えやせき、気管支喘息などの症状が明らかに有意に改善することが分かっています。

また、私も調査に協力しているスマートウェルネス住宅等推進モデル事業※6による調査では、高血圧※7の改善手段として冬場に温かい家で過ごすことで血圧を抑える効果があることが証明されつつあります。私が調査させて頂いた方も、血圧の目覚ましい改善が見られました。


    ※ただし、この被験者以外全員にも当てはまるかどうかは分かりません。

つまり、家を断熱することは冬場に快適に過ごすために役立つ(快適な空間の実現のために:https://www.towntv.co.jp/2009/10/post-57.php)あるいは省エネルギーのために役立つと言うだけでなく、健康的に暮らすために効果があると言うことが分かりつつあるのです。

では、 断熱は家づくりでの優先順位としては如何ほどのものでしょうか??

耐震性や防犯、防音、デザイン、防水、防火・・・ 様々な要素を家づくりでは考えなくてはなりません。そんな中、断熱というものはどれだけ優先順位を高くすべきものなのでしょうか。

まず1つ言えることは、2020年に義務化される断熱は、あくまで省エネルギーのためのものであり、健康を維持するためのものとしては不十分と言えるでしょう。ですので断熱を考える場合、【2020年で義務化される程度の断熱は必ずするとして、プラスアルファどの程度の断熱をすべきか】を考えるべきです。

そして、ここで考えるべき健康とは冬場に健康的に暮らすための室内温度を実現することです。

先程挙げた耐震などの項目の中に、生命に関わる項目と言えば、耐震と防火それに断熱と言ったところです。次にその生命が脅かされる頻度について考えた場合、冬は毎年のようにやってきます。そうして考えた場合、断熱の優先順位は如何でしょうか??

もちろん、優先順位の決め方は人それぞれ違いがあって当然です。ですので、これは単なる考え方の1種にしかすぎません。しかし、優先順位を考えるときにこのような考え方があることを知っていれば、納得して選ぶことが出来ると思わないでしょうか?

次回以降、最適な断熱はどの程度すれば良いのかのお話をさせて頂きます。

※1 正確には住宅を省エネルギー化することが義務になります。このときに夏や冬の暖冷房を減らすための手段として、断熱が必須となります。

※2 統計的には4割の住宅に断熱が入っていないと報告されています(国土交通省2011年資料)が、私の肌感覚では断熱が入っているかどうかの確認を公式には誰もしていなかったことを考えると、もっと多いと感じています。大体リフォームで伺った家には入っていないか、入っていても満足に機能していないことが多いです。

※3 このような話をすると「なんでもかんでもアメリカやヨーロッパのマネをするのは良くない!!」と言う反対派が現れます。このグローバル化が叫ばれている時代にまだそんなことを言う人がいるのかと感じてしまうのですが、今や日本は海外との繋がりの中でなりたっています。インターネットだって海外発のものです。電話は誰が発明したのでしょうか?洋服には何故“洋”がつくのでしたでしょうか??

日本の文化や習慣を残して行くことは大事です。しかし、時代に沿って適切に修正しながら継続していくことこそが文化であり、習慣であると私は考えています。断熱も然りです。

※4 Housing Health and Safety Rating System(住宅健康・安全評価システム):英国コミュニティ地方自治省策定。

※5 海外では冬場の屋内の温度と健康との関連性について明確に調査をして断熱しているわけではなく、感覚的にその重要性が認められているようです。

※6 国土交通省による事業で、住宅関係者が医療や福祉関係者などとの連携による推進体制のもと、既存住宅の改修工事、及び改修工事前後の居住者の健康状況の変化などに関する調査への連携・協力などにより、高齢者等の健康の維持・増進に資する住宅の普及を図るための事業。

※7 高血圧は循環器系疾患(心筋梗塞や脳梗塞など)の大きな要因とされています。

【コラムニストサービス紹介】住宅CMサービス
「いい家を安く」を実現させるために、専門家の知識と経験を利用できるCMサービス。特に大阪で注文住宅を検討中の方に、ご検討いただきたいサービスです。詳しく知りたい方は「住宅CMサービス堺・和泉」ページをご覧ください。

太田 周彰 このコラムの執筆者
太田 周彰(オオタ ノリアキ)
大手ハウスメーカーの研究開発に所属し、住宅の断熱・気密・屋内の温熱環境に関する研究・商品開発に携わる。2008年から株式会社住宅みちしるべ一級建築士事務所設立。超高断熱住宅やZEH(ゼロエネルギー住宅)にいち早く取り組む。同時に近畿大学非常勤講師も勤める。

関連記事

コラムバックナンバー