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第4回 どのくらいの物件を見てまわれば、最適な住まいは見つかるか?

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最適な物件の数を確率論から計算する「最適停止理論」

「物件を探すとき、どのくらいの物件を見てまわれば良いでしょうか?」
住宅の購入を検討されている方が、しばしば尋ねてくるご質問です。

「住まい探しとは、結婚感に似ている」と言い表した人がいましたが、理想の結婚相手を見つけるため、あるいは、適切な人材採用のための選択理論的な考え方をご紹介します。

「最適停止理論」といわれるもので、一定の数式を用いて、具体的な物件数を、確率論の考え方から計算するものです。

小難しい理論はさておき、最適停止理論によれば、だいたいで良いので、自分がこれから見て廻りたいと思う一番多い物件数を想像してみてください。仮に30物件としましたら、その数に37%を乗じますと、その数は約11となります。

そこで、最初に見る11物件は、あえて全て購入する決断をせずに、その11物件のなかで一番良かった物件よりも購入したいと感じられた物件こそが、最良選択であるというもので、いわば、最初の37%の物件数が「お試し期間」であるというわけです。


不動産営業マンが住宅ローンの借入期間を延ばしたがる理由とは?

さまざまな住まいを紹介してくれる不動産仲介を行う営業マンのなかには、住宅購入の資金計画を行ううえで、何の説明もなく、初めから住宅ローンの借入期間を「35年」などと最長の期間で計算しようとする方がいます。

少なくとも、安易な気持ちでは、自分の年齢から設定できる最長のローン期間としてはなりません。

なぜ不動産営業マンは、そのような長期に渡る資金計画を立てたがるのでしょうか?
それは、あなたが借りられる住宅ローンの金額をできるだけ多くすれば、紹介できる物件の数が増え、契約(物件の購入)をして貰え易くなるからです。

このようなパターンが多いはずです。不動産営業マンから「今住んでいる家賃は、おいくらですか?」と聞かれ、今の家賃が例えば、駐車場込みで月10万円であることを告げると、現在の家賃と見合った住宅ローンの資金計画を立てていく場合が多いと思います。

下記の具体的な計算を見て下さい。
毎月の返済額を月10万円で計算してみると、25年返済よりも35年返済の方が、約770万円多く借りられることになります(金利を1.50%で設定した場合です)。
すなわち、あなたは、より高額な物件の検討ができるようになります。

借入金額を増やせば当然、それだけ住宅ローンの総返済額も増えるのですが、下記計算のように、返済期間の設定次第で、利息分を含めて総額で約1,200万円も多く借金を返済することになります。

追加的な1,200万円の返済額とは、770万円の1.5倍以上の金額になることに、充分注意を払わねばなりません。すなわち、単に、「35年返済であれば、770万円多く借りられます」という話しで、そのまま聞き終わらせてはならないということです。

このように、営業マンは、あなたに物件を買ってもらい易いために、できるだけ住宅ローンの借入期間を延ばすように資金計画を立てることがあり、不動産営業マンとしましては、安い物件よりも高い物件の方が、見た目や立地条件が良いので勧めやすくなります。

「後から繰り上げ返済をしましょう」とばかり、一方的に、最長の35年返済で計算されてしまうことには、充分注意をして下さい。

人生100年時代といわれるこれからの日本社会において、老後資金の悩みは増すばかりです。老後もなるべく平穏な生活を送るためには、借金はできる限り早めに返済できる方が良いことは、言うまでもありません。

とても残念なことですが、ひとたび高額な物件に心を奪われてしまうと、それ以後、価格の低い物件に対しては、なかなか購入する決断をすることが難しくなります。


松本 智治 このコラムの執筆者
松本 智治(マツモト トモハル)
不動産鑑定評価システム代表、不動産鑑定士。不動産仲介から戸建て建築、宅地造成、ビル再開発、賃貸アパート大家業、エリア調査まで、不動産に関わる現場を広く経験しているのが強み。

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