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第6回 戸建てとマンションでは、どちらを購入する方が得なのか?

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築年を経るごとに、〇〇の方が、価格下落傾向が大きいという統計データ

「戸建てとマンションでは、どちらの方がより資産価値が高いのでしょうか?」
「戸建てとマンションでは、どちらを購入した方が得なのでしょうか?」

これから住まいを購入するにあたり、戸建てを購入すべきか、マンションを購入すべきか、迷っている方もおられるかと思います。

戸建て購入派の方であれば、「土地の資産性に惹かれる」「戸建てで所有する方が、より自分の城を持てた感がある」「間取りが広め」「愛車を玄関の前に置いておきたい」などの理由から、選好される方も多いかと思います。

他方、マンション購入派の方であれば、「駅からのアクセスが良い」「内装や水回り設備が豪華」「フィットネスなどの共有施設が充実している」「防犯性が優れる」などがあるかと思います。

親戚や知り合いなどとの話しのなかで「あなたは、戸建て派?それともマンション派?」などと尋ねてみた際に、「自分は○○派だね」と、どちらであるかほぼ明確に返答される方もおられますが、ただ、そう明確に答えるのは、尋ねた相手がまだ本気で住まいを探し始めてはいないときでしょう。

いざ、本気で探し始めた際には、実は、パートナーは自分とは逆派であった(しかも、考えを譲る気配がない)、あるいは、子供の進学のことやこれから先の仕事のこと、あるいは、親の介護のことなど、さまざまな不安要素を考え始めた際には、戸建てとマンション、どちらを選ぶべきか、改めて迷い始めてしまいます。

そのような迷いを持ち始めると、なかなか方向性が見えなくなり、家族のライフスタイルや家族一人ひとりの価値観などとは別に、冒頭の質問のような「金銭的にはどちらの方が得なのか?」を考え始めてしまうようです。

このような疑問に対し、私は、「あくまで一般的なものですが、中古戸建てと中古マンションの価値の推移を表したデータによれば、マンションの方が、築年数を経るごとに価格の下落がしやすいようです」と、具体的な資料を示してみます。

このデータからは、戸建ての方が、より金銭的には得であるという説明になります。


なぜマンションの方が、価格下落傾向が大きいのか?

このように、公益財団法人東日本不動産流通機構(国土交通大臣指定)が発表している「首都圏不動産流通市場の動向」のデータによれば、マンションの方が、経年による価値下落傾向が高いことが示されています。

なぜマンションの方が、築年数を経るごとに価値の下落傾向が大きいのでしょうか。

通常、建物の価値は、年を経るごとに減価してゆく(価値が下がる)ものとされています。マンションの資産価値は、土地の価値分よりも建物に関する価値の割合が多く占めますので、経年により、価格の下がり方が大きいと考えられるのです。

マンションを所有する場合にも、マンションが建つ土地を他の部屋の所有者の方々と共有財産として持ちますが、土地の持ち分としてはかなり少ないものとなります。

対して、戸建ての場合は、土地の資産価値の占める割合が比較的大きいことから、マンションに比べて経年による資産価値の減少が比較的少ないと捉えられるからです。

従いまして、土地を多く所有する戸建ての方が、資産性の面で優れるという見解は、一般的には間違っていないと思います。

しかしながら、本コラムでこれまで述べてきましたように、人口減少が著しいこれからの日本社会においては、生活利便性に劣る地域では、土地の価値は二束三文になることも充分に考えらえます。

対して、生活利便性に優れる地域のマンションにおいては、将来的にも資産価値が落ちにくいものとなります。

要するに、損得という面から考えれば、戸建てとマンションどちらを選ぶにしても、利便性に優れた立地性という要因にこそ充分に考慮しなければ資産性に劣るものとなります。

すなわち、大事なのは、どちらを選ぶかではなく、どの「場所」を選ぶかにかかっています。

松本 智治 このコラムの執筆者
松本 智治(マツモト トモハル)
不動産鑑定評価システム代表、不動産鑑定士。不動産仲介から戸建て建築、宅地造成、ビル再開発、賃貸アパート大家業、エリア調査まで、不動産に関わる現場を広く経験しているのが強み。

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