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第5回 「掘り出し物件」とは、どのようなものをいうのか?

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「掘り出し物件」を探すための考え方とは

「不動産の専門家が考える掘り出し物件とは、どのようなものでしょうか。」住まいを購入するにあたり、他の人よりも優れた物件を購入したいという思いから、このような質問を受けることがあります。

単純にいえば、とても価格が割安な物件と解釈できますが、「人生100年時代を見据えた住まいを考える」というテーマから、もう少し別の観点で考えてみたいと思います。

住まいを探す人の目的や価値観は人それぞれ異なりますので、おおよそ普遍的な「掘り出し物件」というものを定義することはできませんが、私のこれまでの経験則からは、以下のような要素を持った物件であると考えています。

〇不動産市況が悪化しても価値の下落が少なく、将来相当の価格で売却できる物件
〇子供が独立したときなど、家族構成が変わった際に間取りの調整がし易い物件
〇使用していないスペースを賃貸とすることができ、一定の賃料収入が得られる物件
〇至急に住まいを売却する必要がある際にも、スムーズに売却ができる物件

これらの要素を持ったものと考えられます。

言い換えれば、「持ち家に相当以上の資産価値がある」ということですが、東京都心や大都市の中心に位置するものだけが資産価値がある物件であるとは限られません。このことは、「住宅の資産性」を考えるうえで重要な要素であると考えます。

すなわち、住まいはその資産性とともに、家族構成の変化に適合して、間取りを変え易いものであること、そして、その間取りの可変によって賃貸にも付し易いものであれば、一定の賃料収入も得やすくなることから、収益面でも優れた物件であるといえます。

さらには、収益面で優れた物件とは、将来においても相当の価格で売却がし易い物件である「市場流通性が高い物件」に相当します。

要は、家族のライフ・ステージにおいて、住まいの在り方そのものが可変し易く、万一の際にも売却がし易いものであること。ゆえに、「住まいが、自分たちのライフ・ステージに合わせてくれる」物件が、「掘り出し物件」であると考えます。

間取りが変え易く、賃貸にもし易い物件は、「掘り出し物件」である

一般的には、子供の生誕や進学というライフ・ステージの変化とともに、広めの間取りを求めることから戸建て住宅の購入に至るケースは多いものです。

しかしながら、過ぎてみれば、子供と過ごす期間というものは案外短いもので、夫婦二人で過ごす時間の方がむしろ長いものでもあります。

日本人の長寿化の傾向からは、ますます夫婦二人で生活する場面を想い描いておくべきであり、特に、戸建て住宅は、老後において夫婦二人で住まうにはやや広すぎ、その間取りの不適合さに悩む方々は案外多いものと感じられます。

ですので、子供さんがいる世帯であれば、将来、子供世帯のためにも二世帯用に間取りを変え易い物件をお勧めしたいものです。最近では「近居」という考え方が徐々に浸透してきましたので、子供さんを持つ世帯では、二世帯向けへの間取りの取り換え易さは有利な要素といえます。

ここで注目すべきことは、二世帯住宅へ間取り変更がし易い住宅とは、子供世帯が引っ越した後においては、第三者に賃貸することもし易い間取りといえます。その際、玄関を分けられる形式であることが、賃貸に転用し易い大事な要素となります。

ゆえに、二世帯用にも間取りの変更がしやすい住まいとは、家族のライフ・ステージの変化に合わせ易いもの、すなわち、「掘り出し物件」と考えられるわけです。


これからの住まい選びは、やはり「利便性」の条件が最優先

このように、将来、余分な部屋を賃貸に付して賃料収入が得られるのであれば、持ち家の資産性として効率が良いものとなり得ます。

二世帯住宅あるいは一部賃貸用への間取り変更のし易さに関するポイントの一つは、2階の間取りにあります。

2階の間取りとして、1階と同じような浴室やキッチンなどの水回り設備、そして玄関を1階と2階で別々に配置できるかなどをみてみるのが比較的簡単な見分け方です。

但し、余ったスペースの賃貸については、あくまで「安定した賃貸運営ができること」が必須となります。

賃貸用に間取りを変更する場合、あまり不便な立地においては安定して入居者が入らず、賃料収入の見込みが薄くなります。

このように、前回までのコラムでも繰り返し述ましたが、これらの観点からも、これからの住まい選びは、何より「利便性」を重要視して頂きたいものです。

松本 智治 このコラムの執筆者
松本 智治(マツモト トモハル)
不動産鑑定評価システム代表、不動産鑑定士。不動産仲介から戸建て建築、宅地造成、ビル再開発、賃貸アパート大家業、エリア調査まで、不動産に関わる現場を広く経験しているのが強み。

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