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第31回 業界における、コロナウイルス(COVID-19)の影響

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回は、これまでのコラムとは違いますが、今日現在、気を付けるべきこと・当センターに質問が多いことをコラムにて寄稿します。

今日現在(令和2年4月6日)、目や耳にするニュースの大半が、コロナウィルスに関しての報道ですね。

終息の見通しはなく、行政からの外出自粛要請をはじめ多くの規制が始まりました。大企業も中小企業も、業種を超えて様々な企業が難しい状況に直面しています。

もちろん、命あってのことですから自粛できる部分は自粛し、感染拡大の抑制に努めなければいけませんね。私は、その方面での専門家ではありませんから、疫病や感染症・・云々のお話をコラムで書き上げるつもりはありませんが、住宅業界・建設業界の起こっていることや、これから起こる可能性が高いこと、それに伴い注意しなくてはいけないことを少しだけお伝えします。

まず最も注意すべき点は企業倒産ですね。いわゆる「自転車操業」状態の中小企業は意外にも多く、いったんお金の流れが滞るとあっという間に、企業が危険な状況に陥ってしまいます。安易な契約はせず、きちんと受注状態・引渡し状況を確認したうえで慎重に契約してほしいものです。

しかし・・会社が大きいから安心!ということも全くありません。特にパワービルダーと言われる、数多くの戸建て建築をしている住宅会社は現場が止まれば(契約受注が止まっても)、入るお金は一気に減るわけですから注意が必要です。決算期が3月や4月、5月といった会社は要注意ですね。一般的に決算期に多くの物件を契約・引き渡す仕組みとなっていますから、こと今回の騒動ではかなりの収益減のはずです。会社の経済体力がモノをいう局面ですから、見極めは一層重要です。

引渡しが遅れているケースが業界内では相次いでいます。原因の一つには材料供給が停止してしまったことが挙げられます。武漢騒動時に、中国国内で生産していたトイレなどの工場ラインがストップし、完成目前で住宅の衛生設備が注文できない状況下になってしまいました。

洗濯機の蛇口なども発注停止(注文依頼ができない)でした。使われる一部のプラスチック部材がライン停止だったようです。

このような状況は、4月入り回復傾向に入るといわれていますが、これまで搬入できなかった分をまず出荷し、そのあとで随時新規の発注を受けるのでしょうから、しばらくは工期に影響が出続けるのは明らかです。

マスクもそうですよね?増産に増産を続けていますが、一向に店頭で見かけません・・製造業では、ケースバイケースですが、いったん狂った歯車を修正するには相当な時間が必になると思います。

加えて、大手のハウスメーカーでは「土曜日の作業禁止」なども目にするようになっています。特に都内はロックダウンになってしまったら、大幅な工程変更をせざるを得ません。来年には延期になったオリンピックが控えなおしていますので、ここ1,2年は問題なくスムーズな引渡しは難しい状態になる可能性が極めて高いということを忘れずに。

なお、着工延期をしたほうがいい?というご質問を頂きますが、終息時期も不透明ですし、その時期・建設地・住宅会社によっても違う状況なので、一言では言えないのが実情です。

次回は、「民法改正後の契約書、注意点について」を予定しています。

市村崇 このコラムの執筆者
市村崇(イチムラタカシ)
一級建築士・ホームインスペクター。大手HMの現場監督を経て2007年に設計事務所・工務店を設立、10年間で500棟以上の施工管理を行う。2013年に(社)住まいと土地の総合相談センター副代表に就任。建築トラブルを抱える多くのクライアントの相談に乗る傍ら「絶対に後悔しないハウスメーカー&工務店選び 22社」など多くの本を企画、執筆している。

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