広告を掲載

第28回 耐震性に関する基本知識 その3

  • facebook
  • twitter
  • hatena
  • LINE

造に関する注意ポイントをいくつか解説してきましたが、今回の話では、よく見かける設計計画のなかで構造検討をしておかないと危ないですよ!という計画事例を上げていきます。

ページの都合上、詳しい解説は割愛しますが、次に挙げる事例は要注意ですので、設計者に構造検討の内容や考え方の説明をきちんと受けてから契約をしてください。

まずは耐力壁の配置です。

耐力壁とは地震時の水平力に抵抗するもので、簡単に言えば「強い壁」をX方向Y方向に配置して、建物が変形しないようにするものです。

この壁配置を極端に計画しているプランを稀に見かけますが、よくあるケースでは「狭小間口」での設計計画が該当しやすいですね

上のプランのように短いスパン方向に耐力壁が計画しづらく
※壁の存在で、間取りの自由度が低くなる
部分的に耐力壁をまとめて計画するプラン事例ですね。

この様な耐力壁の配置は構造計算上、成立はしていますが建物重心とのバランスに偏りがあるため、偏心の確認が必要です。

同じように偏心検討が必要な計画が変形矩形(コの字、L字)です。

このような間取りも、バランスが悪いため注意が必要です。

また、構造フレームのバランスは平面だけの話ではありません。立面的な話でも当てはまります。

例えば、セットバックやオーバーハングしているプランですね。こちらもバランスがよくないため、構造検討が必須となります。

他には平面的な穴、吹き抜けやスキップフロアも力のかかり方を精査しなければなりません。

これまで解説してきたプランが全て危険だからやめたほうがいい、という話では勿論ありません。

そうであれば、画一的で似たような家しか建てられなくなりますから・・(笑)

ただし、総二階のような安定した構造フレームとは言い切れないため構造検討を含め、何かしらの対策が必要になるのは間違いありません。

それ以前に、「接合部の重要性」はこれまで私のコラムを読んでくださった方はご理解いただいていると思っています。

キチンとした施工があってはじめて計算通りの耐力が性能発揮されます。

こういった杜撰な工事(ナット締め忘れ)だと、いくら構造検討していても絵にかいた餅ですね・・

市村崇 このコラムの執筆者
市村崇(イチムラタカシ)
一級建築士・ホームインスペクター。大手HMの現場監督を経て2007年に設計事務所・工務店を設立、10年間で500棟以上の施工管理を行う。2013年に(社)住まいと土地の総合相談センター副代表に就任。建築トラブルを抱える多くのクライアントの相談に乗る傍ら「絶対に後悔しないハウスメーカー&工務店選び 22社」など多くの本を企画、執筆している。

コラムバックナンバー