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第25回 比較コラム「屋根の形状について」

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回のテーマは屋根です。

皆さんからいただく質問に、屋上利用が出来るか?屋上利用のメリットデメリットは?などがありますが、実は「屋根」や「防水」に直接関することは少なく、意外に興味を持たれていない項目だなと思っています。

防水は保証してくれている(雨漏れ事故のことですね)から、心配していない。ということなのでしょうが、できればきちんと特徴やメリットデメリットを理解してから契約をした方がいいですね

ハウスメーカー各社の屋根タイプですが、大きく分けると一般屋根と陸屋根に分けられます。一般屋根は傾斜がついたもので次のような写真がイメージ湧きやすいですね。


写真は三井ホームのHPからで、商品はシュシュ。

一条工務店では本格的な和風建築も商品化されていますね。次の商品名は百年。

一条工務店のHPから

陸屋根ですが、建築用語で水平のことを「陸(ろく)」と呼ぶことからわかるように、平らな屋根です。

次の写真は豊洲にあるパナソニックホームズのモデルハウス。屋根が水平なのがわかりますね。

陸屋根の多くは鉄骨メーカーで採用されていると思います。

屋上の防水はシートタイプが多く、その工法のトップメーカーはヘーベルハウスでしょう。ヘーベルハウスの特許製品が鉄骨メーカーの基本となっています。

鉄骨造はその部材特性上、建物が結構揺れますから絶縁工法を基本としています。絶縁工法とは躯体そのものに密着固定せずにシートを点付けする工法で、写真のような点在しているディスクと部分的に接着していきます。

また細かい部分には専用の成形部材を準備しているメーカーが多く、こういった工夫が雨漏れには効果的になります。

写真はシートの継ぎ目がきちんとくっついているかを検査している様子ですが、当センターでは専用の検査治具を使っています。

木造で「屋上利用」も可能ですが、特殊な屋根工事・防水工事をするメーカーは少なく
ほとんどがFRP防水というベランダ防水仕様と同じ手法をとっていますね。

FRPは繊維強化プラスチックを応用した工法で、現在の木住宅の防水工法では最もメジャーと言えるでしょう。

FRPは耐候性や耐久性に優れていますが、硬質な特徴から建物挙動の追従性には若干の疑義が残ります。

大きな面積の陸屋根の場合には、防水工法を慎重に検討する必要がありますね。

昔ながらの勾配屋根は主に「コロニアル(カラーベスト)」と「本瓦」がありますが、最近本瓦は重量が重いので耐震の面から敬遠されていますね。また台風被害時には、復旧の職人不足なども心配な面ではあります。


検査では瓦破損などが是正項目に挙げられます。

頻繁に足場昇降する現場監督は残念ながら少ないのが現実です。特に外部は、確認がおろそかになるケースが多いと言わざるを得ません。

屋根は防水、意匠のほか昨今では太陽光搭載など用途が多様化している面が否めませんので、きちんと特徴を理解してから契約をして欲しいと思います。

次回は耐震性に関する基本知識を予定しています。

市村崇 このコラムの執筆者
市村崇(イチムラタカシ)
一級建築士・ホームインスペクター。大手HMの現場監督を経て2007年に設計事務所・工務店を設立、10年間で500棟以上の施工管理を行う。2013年に(社)住まいと土地の総合相談センター副代表に就任。建築トラブルを抱える多くのクライアントの相談に乗る傍ら「絶対に後悔しないハウスメーカー&工務店選び 22社」など多くの本を企画、執筆している。

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