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第23回 比較コラム「省エネVSパッシブ!?」

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回のテーマは省エネ住宅です。梅雨明け後、夏真っ盛りの酷暑ですが、今年もうだるような気温が各地で観測されていますね。

省エネは住宅業界のみならず、昨今の販売テーマの一つです。「省エネ住宅」の定義は、環境負荷の少ない住宅になるのでしょうか。その指針として、省エネ基準が存在し、現在は平成28年基準が適用されています。

最近耳にする「パッシブデザイン」とか「パッシブハウス」は、省エネ住宅と反対に位置すると思われる方もいますが、省エネ住宅(環境負荷の少ない家)にする手法の一つにパッシブ手法とアクティブ手法が存在します。

アクティブとは積極的とか能動的という意味で、住環境の向上に積極的に機器を使用する手法ですね。わかりやすく言えば、エアコンなどの冷暖房で温度調整をすることです。

一方、パッシブは受動的という意味で、機器に頼らずに設計手法により省エネを考えていこうといものです。

今回は比較コラムというよりは、それぞれの手法を含めた省エネ住宅に関しての解説になります。

まず、アクティブ手法での省エネですが一番わかりやすいのは「太陽光発電」ですね。創エネというようなフレーズも耳にしたことが多いと思います。

屋根や屋上にパネルを設置し発電させる仕組みを前面に押し出しているメーカーは木質系では「一条工務店」鉄骨系では「ヘーベルハウス」ですね。

一条工務店は、フィリピンの工場で自社制作した屋根と一体になった太陽光パネルを
ヘーベルはフラットルーフを利用し、屋上全面にパネルを設置するのが得意ですね。

一条工務店のHPから

ヘーベルのHPから

パネルの向いている方位にもよりますが、単純に設置面積が大きければ発電量は多くなります。一条工務店のHPをみると、平均搭載量が11.3Kwとなっていますから発電量はかなり期待できますね。

他に設備を利用しての省エネは、空調や換気設備です。空調に関しては以前のコラムを参考にして欲しいですが、換気では「全熱交換器の採用」が効果的となります。

換気は家の中の空気を外気と交換するわけですが、外気取入れの際に外気温をそのまま家の中にいれると空調効率が下がります。そのような状況を避けるために、全熱交換を採用します。次のイメージ図はパナソニック製品のものですね。

パナソニックのHPから

技術の発達により、様々な機器が開発されていますが、忘れてならないのは「交換時期」があるということです。便利なものが多いですが、採用したあとは定期的なメンテナンス費用や機器入れ替えの費用を考える必要があります。

一方、パッシブ手法で効果が大きいのは窓の計画。光をどのように取り入れるか?日射をどのように遮るかがポイントです。

また、窓単体の性能も近年では上がってきています。次はサッシメーカーのYKKapのHPから引用していますが、従前のペアガラスではなくトリプル(3枚)ガラスのサッシも人気がありますね。

YKKapのHPから

窓が大きいとガラスが3枚になりますので、開閉が非常に重く困難に感じる方もいますので、採用の際には実際に動かして確認することを推奨します。

日射遮蔽に関しては、軒を出して日射を遮る、ルーバーやオーニングテントなどが有効ですが、実はこれと言って特別なものではなく、昔ながらの家づくりの基本ですよね。

軒を出すデザインは木質系のほうがしっくりきます・・

三井ホームのHPから

積水ハウスシャーウッドのHPから

軒がしっかり出ている建物は、雨漏れリスクも下がるメリットがあります。

しかしながら、アクティブ・パッシブもいいのですが・・・

忘れてはならないのは「きちんとした断熱・気密が実施されているかどうか」が
最も重要なことなのは言うまでもありません。

次回は モルタルVSサイディングを予定しています。

市村崇 このコラムの執筆者
市村崇(イチムラタカシ)
一級建築士・ホームインスペクター。大手HMの現場監督を経て2007年に設計事務所・工務店を設立、10年間で500棟以上の施工管理を行う。2013年に(社)住まいと土地の総合相談センター副代表に就任。建築トラブルを抱える多くのクライアントの相談に乗る傍ら「絶対に後悔しないハウスメーカー&工務店選び 22社」など多くの本を企画、執筆している。

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