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第18回 ハウスメーカー評価のまとめ アフターメンテナス編

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れまで各社の特徴を、実際のインスペクション経験に基づき記事としてきましたが
今回はアフターメンテナンスの評価まとめを書いていきます。

ハウスメーカー選び、もっと言えば家づくりのご参考になればと思います。

過去の記事では、各社の実力は次の通りの評価にしました。
積水ハウス(鉄骨) :★★★★(4)
ダイワハウス    :★★★(3)
旭化成ホームズ   :★★★★★(5)
パナソニックホームズ:★★(2)
住友林業      :★★★(3)
積水ハウス(木造) :★★★★(4)
三井ホーム     :★★★★(4)
住友不動産     :★★(2)
一条工務店     :★★(2)
セキスイハイム   :★★★(3)
ミサワホーム    :★★(2)

本コラムも前回と同様、一言で評価するのは難しいのですが、大前提の重要なポイントをベースに解説をしていきます。

・保証内容の確認を実施する

・保証期間よりも大切なこと

・ノーメンテナンスという言葉に惑わされない

・リフォーム部門、子会社が存在している

この4点で説明をしていきます。

現在の大手のハウスメーカーの保証体制は大きく分けると「自社保証を約束している」、「瑕疵担保履行法に基づき保証をしている」、「設備機器などのメーカー保証を付与している」の3つのパターンがあります。

まず「自社保証を約束している」ということから解説をしますが、大手ハウスメーカーの多くは型式認定工法という特許のような考え方で自社製品を供給していますから、自社で保証をする考え方が基軸となっています。

「ロングライフ戦略」といって、長期のアフターを重視する経営戦略を最初に掲げたのがヘーベルハウスです。

ヘーベルハウスのHP(https://www.asahi-kasei.co.jp/hebel/feature/longlife/index.html/)から画像を引用

当初は30年保証を謳っていましたが、現在では60年という期間を設定しています。

この動きに引っ張られるように、各社長期のアフター体制やメンテナスの考え方を打ち出してきています。

注意をしたいのは「無償で保証をしていくのには条件がある」という点でしょう。言い換えれば「長期期間の保証を約束しているのではなく、「長期でメンテナンスをしていくシステム」という理解が間違いないかと思います。

ヘーベルハウスのHP(https://www.asahi-kasei.co.jp/hebel/feature/longlife/index.html/)から画像を引用

上の表を見てもらえればわかりますが、ある時期にまとめてメンテナンスが必要になるのは一目瞭然です。

保証期間が10年、30年と言った長期にわたる期間を設定しているのは心強いですが保証には「免責事項」というものが存在しています。

次のものは、最近30年保証を謳い始めた積水ハウスの保証内容です。

免責とは、表中の「適用除外」に記載してありますので、必ず契約前に確認・すり合わせが必要です。

特に、保証を受ける大前提で適切な時期に点検・補修が必要となるケースが大半ですので、読み合わせは必須となります。

アフター対応でよく聞くトラブルとしては、「カビ」が上げられます。

室内環境が多湿になると、カビが発生する可能性が上がりますが、これを「生活スタイル」の一言で片づけられてしまうケースです。

洗濯物の室内干しや、加湿器を使用しているからカビ(カビだけでなく結露や、クロスの浮きなどもそのような対応をされることが多いです)が発生するというものです。

しかしながら、多湿の一因として生活スタイルは確かに鑑みなければなりませんが、必要な調査もせずに決めつけるのは少し乱暴な対応ですね・・

実際に、カビ発生で困っている建て主からの依頼でのインスペクションでは、アフター対応は「生活スタイル」でしたが、調査の結果、雨漏れしていたということもあります。

某メーカーでは「メンテナンス不要」という極端な営業トークを使用する営業マンが少なからず存在しています。

しかしながら、ノーメンテというのは存在しないと理解しておくことが重要です。「材料単体でメンテナンスが不要」ということはありますが、複数材料の積み上げで家が完成しますから、家そのものがメンテナンス不要ということはあり得ないのです。

また使用頻度や、建設地などの周辺環境にも家は多分に影響を受けます。未来永劫、そのままで使用できるものなどないと思ってもらったほうがいいでしょう。

最後に、各社もメンテナンスを担当する部署とは別に「リフォーム部隊」を持っています。リフォーム部門は別法人という形態が多く、その会社単独で事業収益を求められます。

親会社の新築部門が「永く保証をしますよ」と約束をしていても、別法人のリフォーム会社の営業行為は避けられないということです。

引き渡しの10年後に、給湯器が壊れた際に「外壁が汚れてきていますね、リフォームしませんか?」という営業行為はたやすく想像できるかと思いますが・・

市村崇 このコラムの執筆者
市村崇(イチムラタカシ)
一級建築士・ホームインスペクター。大手HMの現場監督を経て2007年に設計事務所・工務店を設立、10年間で500棟以上の施工管理を行う。2013年に(社)住まいと土地の総合相談センター副代表に就任。建築トラブルを抱える多くのクライアントの相談に乗る傍ら「絶対に後悔しないハウスメーカー&工務店選び 22社」など多くの本を企画、執筆している。

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