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第16回 ハウスメーカー評価のまとめ 設計自由度編

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れまで各社の特徴を、実際のインスペクション経験に基づき記事としてきましたが
今回は設計自由度の評価まとめを書いていきます。

ハウスメーカー選び、もっと言えば家づくりのご参考になればと思います。

過去の記事では、各社の実力は次の通りの評価にしました。
積水ハウス(鉄骨) :★★★★(4)
ダイワハウス    :★★★(3)
旭化成ホームズ   :★★★(3)
パナソニックホームズ:★★★(3)
住友林業      :★★★★★(5)
積水ハウス(木造) :★★★★★(5)
三井ホーム     :★★★★(4)
住友不動産     :★★★(3)
一条工務店     :★★★★(4)
セキスイハイム   :★★(2)
ミサワホーム    :★★(2)

一言で設計自由度と表現するのは難しいのですが、大前提として鉄骨メーカーはモジュールが決まっている為に、木造よりも評価を低くしています。また、木造では、軸組工法と枠組壁式工法(ツーバイ)では、軸組の評価を高くしています。

鉄骨メーカーから解説しますが、積水ハウスの評価★4つとし、他社はすべて★3つの横ならびの評価としています。積水ハウスは3階以上の建物には「梁勝ちラーメン」を採用し、柱の位置をある程度の範囲で自由に計画できるため、鉄骨メーカーの中では頭一つ抜けている印象があります。

下の写真は積水ハウスのHP(http://www.sekisuihouse.co.jp/)から引用しています。

柱の位置が自由に決められますので、他社と違いコーナーにサッシが計画できるのも特徴の一つです。

パナソニックホームズは、重量鉄骨のビューノが最小寸法150mm(15cm)で9階建てまで計画できますので、鉄骨メーカーの中では積水に次いで自由度が高いと言えるでしょう。一方、ヘーベルハウスの最小単位は305mm(30.5cm)ですから、設計自由度は低く、プランニングが難しい商品と言わざるを得ません。

最大スパンに関しては、積水ハウスの軽量鉄骨は7m、重量鉄骨のβシステムは最大9mまで飛ばせます。パナソニックホームズはビューノで7.2m。このあたりの大空間の設計に関しては、木造よりも優れています。(注)詳細な寸法はメーカー各社に問い合わせしてください。

大空間の設計を得意とし上層に伸びていく建物を計画するには、鉄骨メーカーが検討候補になるでしょう。下はビューノのものです。

パナソニックホームズのHP(https://homes.panasonic.com/)から画像を引用

木造では、軸組工法の住友林業、積水ハウスのシャーウッドが★5つの評価としています。設計の自由度は非常に高く、特に住友林業のビックフレームは「梁勝ちラーメン」ですから間取りに関しては出来ないことが少ないと思います。

住友林業のHP(https://sfc.jp/)から画像を引用

上記のようなイメージ図が梁勝ちラーメンを理解しやすいと思いますが、いわゆる壁や柱の直下率が著しく低くなるケースも見受けられますから構造的には注意が必要です。

以前のツーバイ建築物はルールが厳しく、かなり設計自由度が低かったのですが現在では構造計算で安全性を確認すればかなり間取りは自由に計画できます。

集成材を利用した住宅では、スパンもかなり飛ばせますから大空間も得意なメーカーも存在します。下記は三井ホームのHP(http://www.mitsuihome.co.jp/)から引用したものです。

Gフレームという部分的に集成材ラーメンを採用し、最大7.3mのワイドスパンですから鉄骨と遜色ないレベルと言っても過言ではないでしょう。

次の写真は、同じく三井ホームの関連会社三井コンポーネントの製品です。写真のような大空間のノウハウを持っていますので「ツーバイ=自由度が低い」というのは過去の話だとお分かりになると思います。

三井コンポーネントのHP(https://www.mhc.co.jp/)から画像を引用

セキスハイムに関してはユニット工法ですから、モジュールが決まっています。
箱を積み上げていく建物ですから、必然的に設計自由度は低くなります。

参考ですが、写真は同じユニット工法(トヨタホーム)のレッカー作業の写真です。

家は単体の性能のみで成立するものではありませんが、設計自由度つまり間取りの作りやすさは、総じて木造に軍配が上がりますね。

ハウスメーカー評価のまとめ 設計自由度編は以上です。
次回は、各社の施工力編を掲載する予定です。

市村崇 このコラムの執筆者
市村崇(イチムラタカシ)
一級建築士・ホームインスペクター。大手HMの現場監督を経て2007年に設計事務所・工務店を設立、10年間で500棟以上の施工管理を行う。2013年に(社)住まいと土地の総合相談センター副代表に就任。建築トラブルを抱える多くのクライアントの相談に乗る傍ら「絶対に後悔しないハウスメーカー&工務店選び 22社」など多くの本を企画、執筆している。

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