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第4回 法的観点からみる住宅ローン

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回のテーマは、住宅ローンです。住宅ローンと聞くと、お金の問題として捉えがちですが、今回は主として法的な観点から見ていきます。

1住宅ローンの種類

住宅ローンには、不動産会社と金融機関の提携ローン、金融機関の非提携ローン、住宅金融支援機構の取り扱うフラット35など様々なタイプがありますが、いずれも、法律上は金銭消費貸借契約に含まれます。契約の条件は様々ですが、返済期間が長期で分割返済であること、一般的に抵当権や保証等の担保の定めがなされることが特徴として挙げられます。

2返済の条件

金銭消費貸借契約において利息の定めがある場合、借り手は元金と利息を返済することになります。利息については、契約期間中同じ利率の固定型、長期金利の変動等によって変わる変動型、契約当初は利率が固定され一定時期に変動型か固定型かを選択できるタイプなど、様々なタイプがあります。

返済方法の定めがない場合には、返済された金銭は利息、元金の順番に充当されますが(民法491条1項)、住宅ローン契約では通常、返済の条件について詳細な規定が置かれています。一般的な返済の条件には以下のものがありますので、契約時にどのような条件かよく確認することが重要です。

〇元金均等返済方法

毎回、元金に当たる部分の金額が一定となるように返済する方法です。返済を始めて間もない残高が大きい時期には利子の金額が大きくなるため返済金額も大きくなり、残高が減るに従い利子が減ってくことから返済金額が小さくなります。

〇元利均等返済方法

毎回の返済金額を一定額とする返済方法です。残高が大きい時期には、返済金額に占める利子部分の割合が大きくなり、元金はさほど減りませんが、残高が減るに従い、返済に占める元金部分の割合が大きくなっていきます。 その他、返済期間中の一定の時期に毎回の返済額が変わるような条件のものもあります。

3返済が滞った場合の取扱い

住宅ローン契約においては、通常、返済を一回でも怠った場合には期限の利益を失い、残額を直ちに支払わなければならない、という趣旨の期限の利益喪失条項と呼ばれる定めがなされます。「期限の利益」とは聞き慣れない言葉ですが、借りた金銭を分割で返済できる借り手にとってのメリットのことをいいます。 期限の利益を喪失すると、分割払いができるメリットを失うことになりますので、その時点の残額を一度に返済しなければならないことになります。もっとも、契約で定められた毎回の返済額の支払ができないのに残額を一度に返済できるという状況はまず考えられません。

貸し手である金融機関は、このような事態が生じることを想定して、契約時に様々なリスク回避のための手段を講じています。

〇抵当権設定

金融機関は購入した不動産に抵当権を設定するのが一般的です。返済が滞った場合、最終的には金融機関が抵当権を行使して不動産を競売にかけて、競売で得られた金銭により返済を受けることになります。

〇信用保証協会による保証

借り手が一定額の保証料を支払うことで信用保証協会による保証を付けることもあります。この場合、返済が滞った時には金融機関は保証人である信用保証協会から残額の一括返済を受けられることになります。もっとも、借り手の立場から見ると、金融機関に対する返済を行うことにより求償債権を取得した信用保証協会が新たな債権者となって請求してきますので、信用保証協会への返済ができなければ、結局、購入した不動産は第三者の手に渡ってしまう結果となります。

当初の条件での返済が困難になった場合、事前に金融機関に相談をすれば、直ちに購入した不動産を手放す事態は避けられる場合が多いと思われますが、契約上は返済の遅滞に対して厳しい取扱いになっている点、返済できなければせっかく購入した不動産を手放さなくてはならなくなる点には注意が必要です。

なお、ローン契約者が不慮の事故等で死亡したり働けない状態となるリスクへの対処としては、団体信用生命保険という制度があります。契約者の死亡等によりその時点のローン残額と同額の保険金がおりてローンが完済されるため、残された家族は住宅ローンの負担を免れることができます。最近の民間の住宅ローン契約では必須とされているケースがほとんどです。

4ローンの審査が通らない場合の取扱い

不動産売買契約時に頭金を除く額について住宅ローンを申し込んだものの、ローンの審査が通らなかった場合、売買契約はどうなるでしょうか?

このようなケースでは、住宅ローンの審査が通ることを条件とした契約(停止条件付契約といいます)が締結されるのが一般的です。停止条件付契約では、条件が満たされた場合、今回のケースでは住宅ローンがおりた場合に契約の効力が生じることになります。一方、条件が満たされないことが確定した場合には、契約は無効となります。契約が無効となった場合、既に支払われた金銭があれば、全額の返還を請求できることになります。

ポイント

住宅ローン契約は、金銭消費貸借契約(いわゆる借金)の一種。
契約時に、返済方法等の契約条件をよく確認することが重要。
住宅ローンの返済を一度でも怠ると、一度に残額を返済する義務が生じ、抵当権の実行等によって購入した不動産を手放さなくてはならない事態が生じるので注意が必要。
売買契約と同時にローン契約を申し込む場合、停止条件付契約であるのが一般的であり、この場合、ローン審査が通らなければ売買契約は無効となる。

次回のテーマは、住宅に関する登記手続についてです。

原田真 このコラムの執筆者
原田真(ハラダマコト)
一橋大学経済学部卒。株式会社村田製作所企画部等で実務経験を積み、一橋大学法科大学院、東京丸の内法律事務所を経て、2015年にアクセス総合法律事務所を開所。
第二東京弁護士会所属。東京三弁護士会多摩支部子どもの権利に関する委員会副委員長、同高齢者・障害者の権利に関する委員会副委員長ほか

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