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第4回 住宅購入資金計画とライフプランニング

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宅購入を検討する際、どの立地で選ぶのか、どんな間取り、デザインが良いか、マンションにするのか戸建てにするのかなど様々な事について検討すると思いますが、お金の面について目を向けた場合、検討すべき事としては、いつ購入すべきか、いくらの家を買うのか、頭金はいくら入れればよいのか、返済期間はいつまでにすべきか、などが挙げられると思います。
これら住宅を購入する上でのお金の疑問に対する答えはライフプランニングを立ててみることによって見えてきます。逆に言うとライフプランニングを立てる以外の方法では、どんな本やセミナーを参考にしたとしても答えは見つからないでしょう。その理由は下記の通りです。

【本やネットの情報を参考にし過ぎない】

例えば、住宅ローンに関して本やネットで、借入額は年収の5倍以内が適正だとか、返済負担率(年収に対する住宅ローンの返済額)は25%以内が適正と言われることもありますが、果たしてそれは本当に参考にすべき適正な基準となるのでしょうか。

例えば、全く年収が同じ2つのご家庭(AさんとBさん)があったとして、Aさんは年収500万円、20代で独身、Bさんも同じく年収500万円、ただし独身のAさんとは違い、40代で子供が3人いる既婚者だった場合、当たり前の話ですがAさんとBさんでは今後かかってくる生活費や教育費が全く違うため、適正な借入額は異なってくるはずです。
これは極端な例ですが、やはりどんなご家庭でもそれぞれ年収以外にも、年齢や家族構成、生活レベルなどが違うため、適正な借入額は変わってくるでしょう。

また、現実的な話として、人生においてお金がかかってくるのは住宅だけでなく、教育費や老後資金など様々なところでお金が必要となってくるため、どこを重視するかも重要となってきます。
例えば、また極端な例になりますが、希望として将来子供は3人欲しい、中学から私立に通わせたい、子育てに専念したいため妻は会社を辞めて専業主婦となり、生活レベルは落とさず、通勤時間30分以内に持ち家が欲しいとなると、相当高い年収でなければ今の時代、実現はかなり困難となるでしょう。
つまり、自分が、住宅なのか、子供なのか、日々の生活レベルなのか、どこに重点を置きたいか、価値観によって住宅に掛けられる予算も変わってくると思います。ライフプランニングを立てて、どこにどれぐらい重点を置けるのかをシミュレーションする事が重要となってきます。

【金融機関から借り入れ出来る金額=適正額ではない】

今は金利も低く、銀行側もお金を貸したい状況であり、ローンを組みやすい状況です。間違っても、借り入れ可能額=適正な借入額と考えないようにしましょう。借りられるだけ目一杯借りたは良いものの、教育費が思ったよりもかかり、途中で返済がきつくなって、家を手放すことになったり、毎月の住宅ローン返済に圧迫されて全く貯蓄が出来ないまま老後を迎え、老後破綻してしまったなんてことになっては大変です。

また、都内で良く聞く話ですが、今の家賃とマンションを購入した時の毎月の返済額が、それほど変わらないからマンションを購入しようと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、注意すべき点としてマンションの場合、毎月のローン返済以外にも、管理費や修繕積立費、固定資産税や都市計画税(固定資産税、都市計画税は戸建ての場合もかかってきます)がかかってきます。さらに修繕積立費は途中で値上がりすることもめずらしくなく、それでも不足する場合は修繕一時金としてさらにお金がかかってくることもあります。

もし、マンションを購入される場合は、これらの金額も考慮した上で購入すべきでしょう。

【ライフプランニング表の作成が重要】

結局、自分がいくらの家を買うのが良いのか(いくら住宅ローンを組んでも大丈夫なのか)に対する答えは、どの本を読んでもネットを調べても見つからないないでしょうし、銀行から借りられる上限額が自分に合った適正額とも言えません。

自分がいくら借りても大丈夫なのか、その適正額を知る唯一の答えはライフプランニング表を作成することだと思います。
住宅は大きな買い物ですが、人生には住宅以外にも教育費や老後費用など大きなお金が必要となってくる時期は何度かあります。住宅だけでなく総合的なライフプランニング(人生設計)を立ててみないことには答えは見えてこないのです。

 サンプルをPDF形式でご覧いただけます
ファイルを閲覧いただくためには別途閲覧ツールが必要です。ご了承ください

ライフプランニング表はエクセルで作成することが出来ます。
例として表を載せておきますので参考にして下さい。
それでは実際にどうやって作成していけばよいか作成手順を解説していきます。

【エクセルを用いたライフプランニング表の作成手順】

①年齢、家族計画(今後の予定)、ライフイベントを入力する。

結婚、出産、マイホーム購入時期、子供の進路(公立、私立など)、定年退職時期など

②収入項目を年間手取り額で入力する。

毎月の給料、ボーナス、年金、その他収入(保険の満期金、児童手当、家賃収入など)
※育休などで収入が下がる場合は育休期間中は下がった金額で入力する。

③支出項目を年間で入力する。

・生活費(食費、光熱費、衣服費、通信費、交際費、雑費等)
・教育費
・住宅費(家賃、管理費共益費、住宅ローン返済、住宅購入諸費用、固定資産税、リフォーム代)
・保険料
・車の維持費
・ローン返済(奨学金返済、車のローン等 ※住宅ローン以外のローン)
・そのほか支出(車の買い替え、毎年の旅行等)

④収入―支出の項目を作成し、毎年いくらぐらい貯蓄が可能なのかを算出する
⑤毎年の収支によって預貯金がどう推移していくかを合計していく
 ライフプランニング表をエクセル形式でダウンロードしていただけます
ファイルを編集いただくためにはエクセル等の表計算ソフトが必要です。あらかじめご了承ください

作成した結果、例えば大学進学時等で一時的に収支がマイナスになる事は大丈夫ですが、
常にマイナスの危機にさらされている状態や、貯蓄残高が0(マイナス)になってしまうようでは計画の立て直しをしてみましょう。
また、年金生活になった後も住宅ローンを返済し続けるという状態もリスクが高いため計画を見直す必要があります。年金生活に入ると、収入が年金のみの場合、年金からまずは税金や健康保険料が引かれ、引かれた後の手取り額から生活費を支払っていき、そこからさらに住宅ローンを返済していくとなっては貯蓄が十分にない限り、老後破綻に陥る可能性が大きいです。
また、よく聞く話としては退職金で残りの住宅ローンを一括返済する予定という方もいらっしゃいますが、将来退職金がもらえるかは確実ではないでしょうし、既に50代の方ならともかく、今の現役世代はずっと同じ会社で働くことも少なくなってきているため退職金をあてにした計画も無謀と言えるかもしれません。

ライフプランニング表の結果をもとにして決めた、毎月返済可能な金額と返済期間から逆算し、マイホームの購入可能金額(=借入額)を算出することが出来ます。
金利と毎月の返済額、返済期間から借入れ総額を計算してくれる無料アプリやサイトは探してみるとたくさんあるため活用すると便利です。

また、ライフプランニング表を作成する上で、教育費や年金額、産休育休中にどれぐらい収入が下がるかなどがわからないという場合は本やネットで調べても良いですし、面倒だという方は、手数料はかかりますが作成自体をファイナンシャルプランナーに依頼するのも良いと思います。作成手数料はかかりますが、住宅を購入した後ローン返済不能に陥り、家を手放すようなリスクを考えれば安い費用だと思います。

当然、ライフプランニングを立てたとしても、今後全てが計画通りに行くことは少ないと思いますが、無計画で大きな買い物をするのと、ある程度見通しを立てて買うのとでは結果は大きく変わってくるのではないでしょうか。また、お金の健康診断として定期的に家計を見直して修正をかけていくことによって、大失敗を防ぐことが出来ます。

例えば、行き当たりばったりで家を買ってしまうと下記のような失敗をする事も考えられます。

出産、育休による収入ダウンを考えずに夫婦2人の収入を合わせた額で、かつかつで住宅ローンを組んでしまったため、出産を機に毎月の返済が出来なくなってしまった

65歳で定年退職予定、その後年金生活だが、住宅ローン返済は70歳まで続くため年金の中から返済していかなければならず、老後の生活費が足りない

変動金利で借りており、収入に対して返済できる額ぎりぎりで借りていたため、途中で金利が上昇したことにより返済できなくなった

住宅を買う際は、可能な限り良い家を買いたいという思いと、いくらまで毎月の住宅ローン返済に耐えられるかという部分のせめぎあいになる場合が多く、どうしても家計に対してぎりぎりまで攻めた住宅ローンの組み方になってしまっている方を目にする事が多いです。気持ちはわかりますが、ライフプランニング表を作成した上である程度の余裕を持った資金計画を立てることをおすすめします。
余裕を持っておくことにより、例えば途中でお子さんがどうしても私立の高校に進学したいなど、急なライフプランの方向転換にも耐えられる人生設計になるでしょう。特に今は低金利のため、変動金利で借りる予定の方は金利上昇に備えてある程度余裕を持っておく事が必要です。

最後にこれは余談ですが、今は、金利が低いので頭金を少なくして借入したほうが、利息も少ないし、住宅ローン控除を最大限活用出来て有利と思われる方もいらっしゃいますが、もし頭金を入れることによって金利が低くなるようであれば、頭金を入れて借入金利を低くした方が有利になることもあります。
これも実際にシミュレーションして確認してみるとよいでしょう。
例えば、3500万円、35年間の借入で金利が1%→0.8%と0.2%違えば、毎月の返済額は3228円違い、総返済額は135万433円違ってきます。

このように頭金をいくら入れるかによって金利が異なることもあるため、頭金がいくらあれば優遇金利で貸してくれるか金融機関に確認してみても良いでしょう。
逆に、今手元に十分なお金が無いという場合は、今から頭金を貯めて5年後に購入するよりかは、頭金無しで購入してしまい、後から繰り上げ返済した方がライフプランニング的に有利になる場合もあります。そこも実際にどちらが有利かはライフプランニング表を作成してみてのシミュレーションが必要です。

【まとめ】

  • ポイント
  •  ライフプランニング表の作成⇒住宅費だけに焦点を当てず、総合的なライフプランニングの結果、最後まで無理なく返済出来る金額をシミュレーションし、返済可能金額と返済期間を算出してそれをもとに借入額を決める。
  •  返済期間は出来るだけ65歳より前に終わらせるように計画する。もしくは一旦は借入期間35年等で借りておき、途中で繰り上げ返済できるように計画を立てておく。
  • 注意点
  •  一般論(借入額は年収の何倍、年収の何%以内の返済額で借り入れる等)適正額ではないので参考にしない。
  •  銀行借り入れ可能額=適正な借入額ではない
  •  将来について何も検討無しに長期で借り入れすると老後の返済が大変になる可能性がある

以上、今回は住宅購入資金計画とライフプランニングについて解説しました。
次回は、火災保険と地震保険の基礎知識について解説していきます。

松井大輔 このコラムの執筆者
松井大輔(マツイダイスケ)
住宅資金に限らず教育資金や老後資金を含めた総合的なライフプランニングについて年間200件超の個別相談に応じているお金の専門家(ファイナンシャルプランナー)

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