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第3回 住宅ローン控除の基礎知識

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住宅ローン控除(住宅ローン減税)とは、正式名称を「住宅借入金等特別控除」と言い、簡単に言うと、住宅ローンを組んでマイホームを購入した場合、その人が毎年支払っている税金(所得税や住民税)がいくらか戻ってくる制度です。
また、購入だけでなくリフォームをした場合にも一定の条件を満たせば対象になります。
今回は、その住宅ローン控除がどのような制度で、どんな人、どんな物件に使えるのか、また申込方法や注意点についても解説していきます。

給与所得者(サラリーマン)が働いて給料を稼いだり、個人事業主が事業を営んで利益を上げたりした場合、所得税や住民税といった税金が給与天引きで引かれたり、確定申告で支払ったりします。
住宅ローン控除の「控除」とは差し引くということを意味しており、住宅ローンを組んでマイホームを購入した場合、購入後の毎年年末(12月31日)時点の住宅ローン残高×1%の金額を、支払った税金(所得税、住民税)から10年間差し引くことが出来る制度です。

ローンを組んでマイホームを購入した人だけが受けられる税金の優遇措置であり、現金一括で住宅を購入した人は対象外となります。

具体的にいくらぐらい税金を控除出来るかについてですが、例えば、年末に3000万円のローン残高が残っている場合は、3000万円×1%=30万円を差し引くことが出来、年末時点のローン残高によって控除される金額は毎年変わってきます。
ただし、この控除金額には上限額が決められており、最高で40万円までしか控除できません。(平成31年6月までの入居の場合)
また、そもそも本来支払うべき税金(所得税と住民税)から差し引く制度なので、その人が支払う税金以上の金額を差し引くこともできません。

例えば、年末時点の住宅ローン残高が4000万円だった場合、4000万円×1%の40万円が控除可能な額となりますが、その年に納めるべき所得税額が20万円しかなければ、実際に所得税から控除できる金額は20万円となります。
しかし、控除できなかった分は翌年の住民税からも差し引くことが出来ます。
ただ、住民税にも上限額が決められており、所得税の課税総所得金額等×7%の金額か13.65万円のどちらか低い方の金額が上限となります。

上記の場合で、源泉徴収票の記載内容として課税総所得金額が300万円の場合、
・住宅ローン控除額は4000万円×1%=40万円
・40万円-20万円(所得税額)=20万円

20万円が所得税から控除されるが、あと20万円引ききれない分があるため、住民税からも控除出来る。
・住民税の控除限度額は300万円×7%=21万円
だが、上限の13.65万円を超えるので住民税から控除できる金額は13.65万円。

つまり、20万円が所得税から、13.65万円が住民税から控除出来、合計で33.65万円控除することが出来ます。

【住宅ローン控除限度額】

居住開始年 ローン年末
残高限度
控除率 各年
控除限度
控除期間 最大
控除額
一般住宅 H26年4月

H31年6月
4,000円 1.00% 40万円 最長10年間 400万円
認定長期優良住宅
認定低炭素住宅
H26年4月

H31年6月
5,000円 1.00% 50万円 最長10年間 500万円

※売主が不動産業者ではなく個人の場合の一般中古住宅の上限は2000万円(最大控除額200万円)、認定長期優良住宅、認定低炭素住宅の場合は上限3000万円(最大控除額300万円)ただし中古物件でも不動産会社から購入し、消費税が課税される物件の場合は新築住宅の適用となる。

【住民税からの控除限度額】

所得税の課税総所得金額×7%(ただし上限額13.65万円)
※売主が不動産業者ではなく個人の場合の中古住宅の場合の上限は所得税の課税総所得金額等×5%(最高9.75万円)

以上、住宅ローン控除額について図にまとめると下記のようになります。

次に、住宅ローン控除を使うためにはいくつか条件があるので代表的なものを下記にまとめておきました。

居住要件

  • 住居の取得、あるいは増改築工事完了から6か月以内に入居し、控除を受ける年の12月31日まで引き続き居住していること

所得要件

  • 控除を受ける年の合計所得金額が3000万円以下であること

床面積要件

  • 床面積(登記簿面積)が50㎡以上あり、店舗併用住宅については床面積の2分の1以上が自己の居住用であること

借入金要件

  • 返済期間が10年以上の借入であること
  • 自宅(建物・土地)のための借入であること
  • 下記の金融機関等からの借入であること
    銀行、住宅金融支援機構、信用金庫、信用組合、農協、各種公務員共済組合、地方公共団体、勤務先(年利1%以上のもの)など

中古住宅の要件

  • 耐火建造物(マンション等)なら築25年以内、それ以外(木造戸建て等)は築20年以内であること

その他

  • 生計を同じとする親族から取得する住宅がではないこと
  • 居住した年とその前後の2年ずつの5年間に、前に住んでいた自宅で3000万円特別控除や特定居住用財産の買い替え特例を使っている場合は適用できない
  • 増改築の場合、工事費用が100万円を超えていて居住用部分の工事費が2分の1以上であること

具体的に住宅ローン控除を使うとなった場合の申込方法については、入居の翌年の3月15日までに確定申告で下記必要書類を提出します。サラリーマンの人は2年目以降は住宅ローンの年末残高証明書を勤め先に提出するだけで適用されます。

【必要書類】
住民票や給与源泉徴収票、土地建物の全部事項証明書や住宅ローンの年末残高証明書(金融機関から年末から翌年明けに送られてくる)など。

また、住宅ローン控除を最大限活用するための方法として、夫婦2人がそれぞれ住宅ローンを組んで控除を使う方法があります。

共働き夫婦の場合(夫婦それぞれが税金を納めている場合)、夫婦2人で住宅ローン控除を使うことによって、控除の対象となるローン残高は4000万円×2人分で最高8000万円(控除額80万円)まで適用することが出来ます。
ただし、1人の場合と同様に、控除額はそれぞれ年末残高の1%以内で、納税している所得税と住民税を合算した金額が上限となります。

例えば、夫婦が連帯債務で住宅ローンを組んだ場合(夫負担分3/5、妻負担分2/5)、年末時点の住宅ローン残高が6000万円だったとしたら、住宅ローン控除利用可能額は、夫:(6000万円×3/5)×1%=360,000円、妻:(6000万円×2/5)×1%=240,000円で、合計60万円となります。

夫婦で住宅ローンを組む方法としては、「連帯保証」、「連帯債務」、「ペアローン」の3つがありますが、住宅ローン控除を受けるためには「連帯保証人」ではなく、「債務者」となる必要があるため、夫婦2人がそれぞれ住宅ローン控除を使うことが出来るのは上記の内「連帯債務」と「ペアローン」の2つとなります。

ペアローンとは、1つの物件に対して夫婦2人がそれぞれ別々に2つの住宅ローンを借りる事です。例えば、3000万円の物件を夫が2000万円、妻が1000万円の住宅ローンをそれぞれ別に借りる場合の事をいいます。
フラット35の場合、夫婦別々のペアローンは使えませんが、夫婦の収入を合算して1つの住宅ローンを借りることが出来ます。夫あるいは妻が債務者、収入合算する配偶者は連帯債務者となり、1物件に対して夫婦で合わせて1本のローンを借入する方法になります。夫婦2人とも債務者となるため両方ともそれぞれの持ち分に応じて住宅ローン控除を受けることが出来ます。

最後にいくつか、住宅ローン控除を使う上で注意しておくべき点について解説していきます。

①住宅ローン控除は所得税と住民税を超えて控除できない

前述したように、住宅ローン控除の年間控除限度額は40万円となっていますが、そもそも支払う税金以上には控除出来ないため、自分が毎年いくらの所得税、住民税を支払っているかを把握しておかなければ最大限住宅ローン控除を活用できるか知る事は出来ません。
他にも、直接私が相談を受けた方の中で「個人型確定拠出年金制度(iDeCo)」など、節税メリットのある金融商品を活用しようと考えていたが、実は既に所得税、住民税を住宅ローン控除で控除しきっており、節税メリットを全く受けられない状況にあったという方も何人かいらっしゃいました。確定拠出年金の活用を考えられている方も一度自分の税金について調べてみると良いでしょう。

②住宅ローン控除を最大限活用しようと借入額を増やすと諸費用が高くなってしまう

住宅ローン控除を最大限活用しようと、借入金を増やすと前回のコラムで解説させて頂いたように、借入金の金額に応じて手数料が増減するものもあり、また、返済利息も多くなるため、住宅ローン控除の節税メリット以上に諸費用が高くついてしまう場合があるので注意が必要です。住宅ローン控除の節税メリットと諸費用の増加のどちらが大きいかはそのケースごとに試算してみなければわかりませんが、私の個人的な考えとしては、あくまで住宅ローン控除はおまけの優遇措置として考え、必要以上に借入金は増やさない方が良いと思います。借入額を増やし過ぎると、後々のライフプランにまでマイナスの影響を及ぼしてしまう可能性があります。

③ペアローンで組み、途中で妻が産休に入った場合

借入当初は夫婦共働きでペアローンを組み、住宅ローン控除を最大限活用出来ていたとしても、途中で妻が出産して妻の収入が減ったり、あるいは育児に専念するため退職して収入が無くなった場合、当然妻の住宅ローン控除分は減少もしくは無くなってしまいます。
また、例えば妻の収入が無くなったことにより、妻の借りたローンを夫が代わりに返済すると、贈与とみなされて贈与税の課税対象となる可能性が出てくるなど、別の問題も出てくるので注意が必要です。最初に2人分の収入を見込んで住宅ローンを組んでいた場合には、妻の収入が減ったことにより返済不能に陥ってしまうリスクもあります。
夫婦2人でローンを組む場合には、こうした事態に陥らないように、将来の働き方についてもしっかりとライフプランニングを立てて検討してみる必要があるでしょう。

④50㎡の条件とマンションの登記簿面積を確認する

住宅ローン控除が適用される要件として「登記簿に記された床面積が50㎡以上の住宅」という規定があります。
もし、専有面積50㎡前後のマンションを検討している人は登記簿面積に注意してください。
なぜなら、マンションの場合、パンフレットや価格表にある面積は登記簿面積より3~5㎡くらい大きめになっているからです。
マンションの専有面積には「壁芯面積」と「内法面積」の2種類があり、壁芯面積は壁の中心線から中心線までを測ったもの、内法面積は壁の内側部分を測ったものです。登記簿に記載されるのは内法面積になりますが、マンションを購入する際に検討するためのパンフレット等には壁芯面積が記載されているため、パンフレットに面積50㎡ちょうどと記載されていると、登記簿面積は50㎡未満となり、住宅ローン控除が受けられなくなってしまいます。戸建て住宅の場合は、登記簿も壁芯面積を用いるのでこうした心配はありませんが、マンションの場合は事前に登記簿面積を確認するようにしましょう。

⑤繰上げ返済して10年未満になると住宅ローン控除が終わってしまう

住宅ローン控除の要件に「返済期間が10年以上のローンであること」という規定があります。借入当初、返済期間が10年以上あったとしても、期間短縮型の繰上げ返済をした結果、返済期間が10年未満になった場合には上記の要件に該当しなくなるため、それ以降、住宅ローン控除は受けられなくなってしまうので注意が必要です。

以上、住宅ローン控除とはそもそもどんな制度なのかという点からはじまり、適用するための要件や具体例、注意点について解説してみました。
住宅ローン控除は、住宅を購入する人にとっては非常に大きな税金の優遇措置ですが、意外と不動産会社の人や金融機関の人も詳しくは教えてくれないという話も時々耳にします。基礎知識だけでも把握しておき、注意点に気をつけて活用すれば家計にとって大きな助けになってくれる良い制度だと思います。今回のコラムを是非参考にしてみて下さい。
次回は住宅購入資金計画とライフプランニングについて解説していきます。

松井大輔 このコラムの執筆者
松井大輔(マツイダイスケ)
住宅資金に限らず教育資金や老後資金を含めた総合的なライフプランニングについて年間200件超の個別相談に応じているお金の専門家(ファイナンシャルプランナー)

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