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第19回 相続で起こりうる問題とその対策

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続における悩み、問題というと、資産家などお金持ちの問題だととらえがちですが、実際には相続税がかからないような一般家庭でも多く起こっています。

例えば、「財産を分けるのに全員が納得のいく分け方が見つからない」「自宅しか財産が無いために分けられない」「特定の人に財産を残したい」など、遺産分割についての悩み、問題などがあります。

また、「相続税が高い」「相続税が払えない」など相続税の問題も、平成27年の相続税改正による基礎控除の引下げにより以前よりも増えてきています。

このように、大きく分けると相続の問題は、どうやって遺産を分けるのかという「分割の問題」と、相続税を出来るだけ下げたい、相続税を支払うための資金の準備をしたいなどの「税金の問題」があります。


【相続税の節税と納税資金の準備】

前回のコラムで、いくら以上の財産があった場合にいくらの相続税がかかってくるのか、について簡単に解説しました。

相続税は、どうしても支払えないと認められた場合にのみ分割払いの「延納」や現金以外のもので支払う「物納」という制度もありますが、基本的には現金一括払いが原則です。

そのため、相続税を支払えなかったために、本当は手放したくはなかった不動産を売ることになってしまったということも起こりえます。

そうならないために、相続税の対策が必要となってきますが、対策の方法はいくつかあり、例えば代表的なものとして下記のような方法があります。

・生前贈与
・小規模宅地等の特例
・配偶者の税額軽減の特例
・生命保険の非課税枠

生前贈与

生前贈与とは、被相続人が生きている間に財産を無償で相続人などの第三者に渡すことです。生前贈与することによって、将来相続が発生した際の財産を減らす事ができるため、相続税額を減らす事ができます。

ただし、贈与にも贈与税という税金がかかってくるため、贈与税の対象とならない範囲内で生前贈与を行うことで相続税対策となります。

贈与税は、年間110万円までの贈与に関しては、基礎控除として贈与税がかからないため、毎年110万円までの贈与であれば非課税で贈与する事が出来ます。

これは、受け取る人それぞれに対して基礎控除110万円となっているため、例えば、相続人3人にそれぞれ生前贈与するとなった場合、110万円×3人=330万円を毎年非課税で贈与する事が出来ます。

注意点としては、贈与した人が亡くなった場合、亡くなった日から3年遡った期間内に生前贈与された贈与は相続とみなされ、相続財産に戻されて計算されてしまいます。ただし、相続人以外への生前贈与については3年遡るのは対象外となります。

小規模宅地等の特例

この制度は自宅を相続する場合、一定の要件を満たせば、評価額として80%減額できますよという特例です。

この特例を使うことが出来れば、例えば、自宅の敷地評価額が1億円だったとしても、相続税の計算上、2000万円として考える事が出来るため、大幅な節税効果が見込めます。

ただし、土地の名義が誰になっているかや、だれが自宅を引き継ぐかなどによって、この特例を使えるか使えないかが変わってくるため、どのような場合に使用できるのか、実際に使う際には相続に詳しい税理士に相談してみることをお勧めします。

配偶者の税額軽減

夫婦間の相続では、1億6000万円までは相続税がかからないという配偶者の税額軽減という制度があります。

そのため、財産が1億6000万円以下の場合は、配偶者に全額相続すれば相続税はかからないことになります。ただし、注意点として、配偶者に多くの財産を相続させてしまうと、その時点では確かに節税となりますが、次にその配偶者の相続が発生した場合には、例えば、残された子供に二次相続として、多額の相続税が発生してしまう可能性があります。

何故なら、前回のコラムで解説した相続税の税額表を見てみると、同じ金額の財産を相続しても配偶者のいない二次相続の方が相続税額が高くなっているのがわかります。

つまり、一次相続の段階で相続税がかからないからと、何も考えずに配偶者に全額相続してしまうと、結果的に、次の二次相続で多くの相続税を支払うことになってしまう可能性があるため注意が必要です。

生命保険の非課税枠

保険には、「法定相続人の人数×500万円」の非課税枠というものが存在します。

例えば、相続人が配偶者と子供1人の合計2人だった場合、500万円×2人=1000万円までは、被相続人が死亡した際に受け取る事の出来る生命保険の死亡保険金には、一切税金がかからないことになります。

例えば、財産として現金1000万円を持っていた場合、その1000万円は当然、相続税の計算上、財産としてカウントされますが、この1000万円を保険料として保険契約(被相続人が死亡した場合に死亡保険金として相続人に渡るように契約)しておくことによって節税することができます。

1000万円の保険料が1000万円の保険金(実際には保険料よりも保険金の方が増える場合が多いですが)になるため、保険本来の機能としては意味が無いような気がしますが、非課税枠を活用することによって、無税で1000万円を相続人に渡す事が出来るため、相続税対策となります。

注意点としては、人はいつ亡くなるかわからないため、相続対策として生命保険を活用する際は、途中で保障が切れないよう終身保険を使うようにしましょう。

【分割問題と対策】

相続のもう一つの問題として、残された財産を相続人の間でどのように分けるのかという分割の問題があります。

この話し合いがうまくいかず、揉めてしまうと相続争いとなってしまう場合があります。また、財産が不動産しかなく、分割できないために話し合いがまとまらないといったケースもよくあります。将来、遺産分割がうまくまとまらない可能性がある場合には、事前に遺言書を作成しておくと良いでしょう。

遺言書の作成

遺言書とは、相続人が相続でもめないように、被相続人が生前に誰に何をいくら分けるのかについて文書で残したものです。

遺言書を作成することで、被相続人の意思が明確に伝わるため、相続人同士のトラブル防止につながります。遺言書は法律で定められた法定相続分よりも優先されることになるため、特定の人に多く財産を残したいという場合にも有効です。

ただし、自分で書く「自筆証書遺言」は、必要事項を記入していなかったり、書き間違えていたりした場合に無効となってしまう場合があるのでご注意ください。そうした不安の無いように、確実に有効な遺言書を残しておきたい場合は、公証役場で作成する「公正証書遺言」を作成しておきましょう。

また、前回のコラムでも解説しましたが、最低限、相続出来る権利である遺留分を侵害したような遺言書を残した場合には、侵害された人は遺留分については請求する事が出来るため、例えば「すべての財産を○○に残す」のような遺言書には注意が必要です。

ただ、遺留分を侵害された人が、遺留分を取り戻す請求をしない場合には、こういった遺留分を侵害する遺言書も有効となります。

代償分割

財産が不動産など分けにくいものである場合は、代償分割という方法もあります。代償分割とは特定の相続人が財産を全て相続する代わりに、その他の相続人に自分が持っているお金や所有する他の財産を渡す方法です。

もし、代償金を自分で準備出来ないという場合には、被相続人が生前に生命保険に加入しておき、その保険金を使って支払うという方法もあります。生命保険金は受取人固有の財産として、相続財産の対象から省かれるため、相続財産を減らす効果もあります。

代償分割を利用する場合には、必ず「代償金として△△に○○万円を支払う」という旨を遺言書や遺産分割協議書に記載します。記載しないまま渡してしまうと、贈与とみなされて贈与税が発生してしまうため注意が必要です。

以上、大まかではありますが、相続に関する問題とその対策方法について解説してみました。

ただ、相続の問題は、法律や税金、不動産の問題が相互に合わさってくるため、非常に複雑で難しい問題となります。そのため、困った時は自分達で解決しようとするのではなく、プロの税理士や弁護士、ファイナンシャルプランナーに相談することをおすすめします。

松井大輔 このコラムの執筆者
松井大輔(マツイダイスケ)
住宅資金に限らず教育資金や老後資金を含めた総合的なライフプランニングについて年間200件超の個別相談に応じているお金の専門家(ファイナンシャルプランナー)

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