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第13回 病気やケガで働けなくなった時に受け取れる○○年金

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回のコラムでは、会社員や公務員の人が病気やケガで働けなくなった時の保障として、会社を休んで1年半までの間は傷病手当金という保障制度があるという事について解説させて頂きました。

それでは、1年半よりももっと長期に療養する場合、傷病手当金制度が切れてしまったその後はなにも公的な保障はないのでしょうか。

実はその後は、ある制度から継続的してお金を受取ることが出来ます。その制度とは年金です。年金には老後受け取れる老齢年金の他にも受けとり方が2つあり、そのうちの一つが病気やケガで働けなくなった時に受け取れる「障害年金」という制度です。

障害年金は、病気やケガで心や身体に障害が残り、働けなくなったり日常生活が送りにくくなった場合に受給できる制度ですが、実はもらえる権利があるのにもらっていないという人が大勢います。何故なら、障害年金を受け取るためには自分から申請する必要があるのですが、制度そのものを知らなかったり、聞いたことはあっても自分には当てはまらないと思っている人が非常に多いからです。

「障害年金」という言葉から、かなり障害の程度が重くならないと受け取れないというイメージがあるかと思いますが、実は意外と受給できる幅は広く、がんやうつ病で働けなくなった時や、働いていたとしても腎臓病による人工透析をしている人などは受給する事ができます。

ちなみに、政府の統計によると、傷病別での受給者の割合は、1位が精神障害で31.0%、2位知的障害23.2%、3位脳血管疾患8.1%、4位中枢神経系の疾患5.9%、5位耳の疾患・外傷5.1%となっています。

また、よく誤解される所ですが、障害年金の認定は障害者手帳の等級とは全く別物なので、障害者手帳の制度と混同して判断しないようにしましょう。同じ傷病でも等級が全く違ってきたりします。

自分や周りの人で、もしかして障害年金の受給要件に該当するかも!?と思った時は“障害年金を専門”にしている社会保険労務士に相談する事をおすすめします。

何故なら、障害年金の申請は、必要な書類を準備したり、項目を記入したりするのに非常に煩雑で難しい場合が多く、本人だけで申請するにはハードルが高いため、中々、受給までたどり着けないというケースも多いからです。

また、困ったことに年金事務所やかかりつけのお医者さんに相談したところ、障害年金には該当しないと言われたが、専門の社労士の人に相談したら実は該当して受給できたというケースも聞いたことがあるため、もし可能性があると思ったのであれば一度専門家に相談してみると良いと思います。

以下、障害年金の詳細について解説していきます。

障害年金は、障害基礎年金と障害厚生年金があり、初診日に加入していた年金によってどちらが支給されるかが決まってきます。またどちらの年金も、受け取るためには一定の条件(下記参照)を満たしている必要があります。

障害基礎年金

障害基礎年金とは、障害の原因となった病気やけがの初診日に、国民年金に加入していた人が受給することができます。また、国民年金に加入前の20歳未満で障害を受け、その状態が続いている人にも支給されます。障害基礎年金は1級と2級があります。

障害厚生年金

障害厚生年金とは、初診日に厚生年金に加入していた人が受給することができ、障害基礎年金に上乗せされて受け取ることが出来ます。障害厚生年金は1級から3級まであり、重いものから1級、2級、3級とされています。また、3級に達していなくても条件に該当していれば、障害手当金という一時金が支払われます。

【障害年金の受給条件】

① 一定の障害状態であること
「障害認定日」に、障害の状態が「障害認定基準」に該当していることが支給要件として求められます。「障害認定日」とは、障害の程度を定める日のことで、原則としてその病気やケガの症状が固定したと判断された日か、初診日から1年6ヶ月を過ぎた日を指します。

厚生年金に加入している場合は1級~3級のいずれかに該当しているならば障害厚生年金を(2級までは合わせて障害基礎年金も)受給することができ、国民年金に加入している場合は1級と2級に該当しているならば障害基礎年金を受給することができます。

② 初診日が特定できること
初診日とは、障害の原因となった病気やけがについて初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日のことです。いまかかっている病院の初診日ではなく、きっかけである病気やけがの初診日が、いつ、どこの病院だったかを特定する必要があります。

初診日は「受診状況等証明書」(初診の病院と現在かかっている病院が違う場合)を病院で書いてもらうか、診断書(初診の病院と現在かかっている病院が同じ場合)を作成してもらうことで証明できます。同一の病気やケガで病院や医師を変えている場合には、一番はじめに医師などの診療を受けた日が初診日となります。

③ 初診日に年金(国民年金、厚生年金保険等)に加入していること
※初診日が20歳未満の場合は例外です。20歳未満は国民年金に加入できないことから、20歳に達した時に障害等級に該当していれば加入要件は必要ありません。

④ 初診日の前日までに一定期間保険料を納付していること
原則:初診日の前々月までの年金加入期間の3分の2以上が保険料納付済みか免除されていること。上記を満たさない場合でも特例的な措置:初診日の前々月までの1年間に保険料を納付済みか免除されていること。

【障害年金の受給額】

加入していた年金制度や障害の程度、配偶者・子どもの有無などによって、受給金額が異なります。国民年金加入者は受給要件を満たせば障害基礎年金が受け取れます。障害基礎年金には1級と2級があり、1級と2級で受けとれる金額が異なります。

障害基礎年金

1級の場合の年額:779,300円×1.25+子の加算
2級の場合の年額:779,300円+子の加算
※子の加算…第1子・2子は一人につき224,300円。第3子以降は一人につき74,800円。
子とは下記要件に当てはまる子です。
・18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子
・20歳未満で障害者1級または2級の障害がある子

会社員や公務員の厚生年金加入者は、受給要件を満たせば障害厚生年金と障害基礎年金の両方が受けとれます。障害厚生年金は1級から3級までの3段階で、年金額は平均収入と加入期間で変わります。3級に満たない障害が5年以内に治った後に請求できる一時金としてもらえる障害手当金もあります。

障害厚生年金

1級の場合:(報酬比例の年金額)×1.25 +〔配偶者の加給年金額(224,300円)〕
2級の場合:(報酬比例の年金額)+〔配偶者の加給年金額(224,300円)〕
3級の場合:報酬比例の年金額または最低保障額 584,500円
障害手当金:報酬比例の年金額×2年分または最低保障額 1,169,000円
※1級・2級の場合障害基礎年金も加わる
※報酬比例分の計算において、被保険者期間が300月(25年)未満の場合は300月として計算します
※障害手当金は、3級に満たない障害が5年以内に治った後に請求できる一時金です。

【障害年金の申請方法】

障害年金を受給するためには、本人または家族などの代理人による申請手続きが必要です。障害年金の審査は本人との面談などは特になく、書類審査のみで受給の可否が決まるため、書類の書き方によって申請が通るかどうかが決まってくるとも言えます。

そのため現在、どのような症状なのか、それが日常生活や仕事にどう影響しているのかなど、書き方が非常に重要となってきます。書類は、本人が書くもの「病歴・就労状況申立書」と病院の先生に書いてもらう診断書(受診状況等証明書)とがあります。その他必要な添付書類を年金事務所などで確認し提出します。

申請の流れをまとめると

1. 受給条件を確認
まずは自分が障害年金を受給出来る条件を満たしているかどうか確認してみます。自分だけでは条件を満たしているかどうかわからない場合は年金事務所や社労士に相談してみましょう。

2.必要種類の準備
会社員などの厚生年金加入者は年金事務所に、自営業者や主婦など国民年金加入者は自治体の役所の年金係で必要書類を確認し、書類を準備します。

3.上記書類の提出
年金事務所または自治体の役所に書類を提出します。

4.障害年金受給の可否決定。
書類に問題なければ、提出から約3ヶ月後に受給が決定し、通知書が送付されてきます。そこからさらに,1,2ヶ月後に障害年金が支給されます。

ざっと文章で見ると簡単そうに見えますが、実際に申請が通るまでは、初診日を特定するために過去にかかった病院を辿ったり、病院の先生や事務の方の協力が必要であったりと思ったよりもハードルが高い事が結構あります。

しかし、障害年金をもらえるともらえないとではその後の人生が全く変わってくるため、受給できる可能性があるのであれば、チャレンジしてみた方が良いでしょう。

私が過去携わった方で、申請したら請求が通り、それ以降、月額11万円程受け取ることが出来ました。その方は、30年近く人工透析をされていたのですが、障害年金の存在を知らなかったためにずっと申請してきませんでした。

申請したらその数か月後から支給されたので良かったのですが、過去にさかのぼって受け取る事は出来なかったため、30年間分の約4000万円程が請求漏れで受け取っていないことになります。まさに人生が変わる程の金額だと思います。

もし、受給できる可能性があり、自分だけではハードルが高いなと感じた人は、障害年金に詳しいファイナンシャルプランナーや社労士に相談してみると良いでしょう。

次回は、万が一の時の公的保障である遺族年金について解説していきます。

松井大輔 このコラムの執筆者
松井大輔(マツイダイスケ)
住宅資金に限らず教育資金や老後資金を含めた総合的なライフプランニングについて年間200件超の個別相談に応じているお金の専門家(ファイナンシャルプランナー)

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