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第10回 住宅にまつわる贈与と相続の制度

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宅は購入した後、一家の大きな資産として手元に残ります。そのため、最終的に配偶者や子供に自宅を引き継ぐ際にはその他の財産とあわせて相続税がかかってくる可能性があります。

2015年の1月に相続税の改正によって、基礎控除額(相続財産が基礎控除額の範囲内であれば相続税は課税されない)が[5000万円+1000万円×法定相続人数]から[3000万円+600万円×法定相続人数]へと引き下げられ、それまでは相続税がかからなかった家庭も相続税の課税対象となってくる可能性がでてきました。

しかし、住宅に関して相続や贈与の特例が設けられているため、それらを活用することによって税負担を抑える事も出来ます。そこで今回は住宅にまつわる贈与と相続の制度について解説していきます。

【小規模宅地等の特例】

小規模宅地等の特例とは、簡単に言うと、自宅として使用していた土地については、8割引きの評価額で相続出来る制度の事です。

例えば、下記のように1億円の自宅土地があった場合、この制度を使えば、2000万円の土地として相続することが出来るため相続税額を大幅に下げることが出来ます。仮に、この特例を使った結果、財産が基礎控除の範囲内に収まれば相続税は一切かからない事になります。

また、自宅以外の賃貸などの貸付事業用なども条件を満たせば下記の表のように減額対象になります。

   

小規模宅地等の特例が使える人は大きく分けて下記の3パターンとなります。

1. 配偶者
配偶者への相続であれば無条件でこの特例を使うことが出来ます。
2. 同居親族
同居親族への相続の場合、相続後、相続税申告期限まで居住かつ所有していればこの特例を使うことが出来ます
3. 別居親族
亡くなった人に配偶者や同居している相続人がいなければ、別居の親族もこの特例を使うことが出来ます。ただし相続直前3年以上賃貸で相続後も申告期限までその土地を所有する場合に限り使うことが出来ます。

財産を子供や孫に相続する前に、生前に渡して(贈与)してしまえばその分財産が減るため相続税は軽減されます。しかし、贈与する際にも、年間110万円までの贈与に関しては贈与税はかかりませんが、それを超える額の贈与に関しては贈与税がかかってしまいます。
そこで、住宅に関する贈与に関しても下記のような特例が設けられています。

【贈与税の配偶者控除の特例】

婚姻期間が20年以上の夫婦間で、住宅または住宅取得のための資金贈与を行った場合は、2000万円までは贈与税がかからないという制度です。年間110万円の贈与税の基礎控除とあわせれば、2110万円までは贈与税がかかる事なく贈与する事ができます。贈与額が2,110万円を超える場合には、超えた部分に対して通常の贈与税が課税されます。

■適用要件
次のすべての要件を満たす必要があります

・夫婦の婚姻期間が20年以上であること
・贈与された財産が自分が住むための国内の居住用不動産であることまたは居住用不動産を取得するための金銭であること
・贈与を受けた人が、贈与を受けた年の翌年3月15日まで贈与により取得した不動産に住んでおり、その後も引き続き住む見込みであること
・贈与を受けた人が、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに贈与税の申告を行っていること

■注意点
・同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか適用を受けることができない<

【直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税】

子どもや孫が住宅を購入するための資金であれば、※700万円(省エネ等住宅の場合は1200万円)までは贈与しても贈与税がかからないという制度です。先程の配偶者控除と同様に、贈与税の基礎控除とあわせれば、810万円(もしくは1310万円)までは贈与税がかかりません。
※平成28年1月1日~平成32年3月31日の契約締結の場合の金額

■適用要件
次のすべての要件を満たす必要があります。

・直系尊属(父母・祖父母等)からの贈与であること
※配偶者の父母・祖父母は直系尊属には該当しません。ただし、養子縁組をしている場合は直系尊属に該当します。
・贈与を受けた年の1月1日において、20歳以上であること
・贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下であること。
・平成21年分から平成26年分までの贈与税の申告で「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがないこと(一定の場合を除きます。)。
・自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人から住宅用の家屋の取得をしたものではないこと、又はこれらの方との請負契約等により新築若しくは増改築等をしたものではないこと。
・ 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること。
※ 居住用不動産そのものの贈与や住宅取得後に贈与を受けた金銭は対象になりません。また、贈与を受けた者が「住宅用の家屋」を所有する(共有持分を有する場合も含まれます。)ことにならない場合は、この特例の適用を受けることはできません。
・贈与を受けた時に日本国内に住所を有していること
※贈与を受けた時に日本国内に住所を有しない人であっても、一定の場合には、この特例の適用を受けることができます。
・贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること又は同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること
※贈与を受けた年の翌年12月31日までにその家屋に居住していないときは、この特例の適用を受けることはできませんので、修正申告が必要となります。
・新築又は取得した住宅用の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が50㎡以上240㎡以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。
・中古住宅の場合は建物の築年数が、マンション等耐火建築物なら25年、木造等耐火建築物以外なら20年以内であること。ただし、この年数を超える場合でも地震に対する安全性に係る基準に適合するものであることにつき、一定の書類により証明されたものは適用が可能。また、地震に対する安全性に係る基準に適合しない物件であっても、その住宅用の家屋の取得の日までに同日以後その住宅用の家屋の耐震改修を行うことにつき、一定の申請書等に基づいて都道府県知事などに申請をし、かつ、贈与を受けた翌年3月15日までにその耐震改修によりその住宅用の家屋が耐震基準に適合することとなったことにつき一定の証明書等により証明がされたものも適用が可能。
・贈与の翌年の2月1日から3月15日までに贈与税の申告を行っていること。
※贈与税が発生しない場合でも、申告期限内に贈与税の申告が必要になります。

これらの贈与に関する特例も使える場合は積極的に使っていった方が良いと思います。ただし、相続税対策という観点で言えば、生前に住宅資金を贈与して家を買わない方が良い場合もあるので注意が必要です。

例えば、生前贈与によって子供が家を取得したために、小規模宅地等の特例が使えなくなり、相続時に多額の相続税がかかってしまうような場合です。贈与と相続の両方を総合的に考えて判断する必要があります。

実際にこれらの制度を使う場合には、適用要件に該当しているかどうかや、贈与した方が良いのか相続まで待った方が良いのかの判断など税理士やファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談する事をお勧めします。

松井大輔 このコラムの執筆者
松井大輔(マツイダイスケ)
住宅資金に限らず教育資金や老後資金を含めた総合的なライフプランニングについて年間200件超の個別相談に応じているお金の専門家(ファイナンシャルプランナー)

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