広告を掲載

第31回 生命保険と税金

  • facebook
  • twitter
  • hatena
  • LINE

回は、生命保険に加入して、実際に保険金を受け取った場合の税金のかかり方について解説していきます。

例えば、夫が生命保険に加入しており、死亡した場合には当然、妻は保険金を受け取れるわけですが、その受け取る保険金には税金が一切かからず、まるまる全て受け取れるのでしょうか。

実は、これはその時の収入や財産状況、保険の契約形態によって異なってきます。

収入や財産状況は、保険のために減らしたり増やしたりすることは中々出来ないでしょうから相続対策等、特別な事情が無い限り意識する必要はありませんが、重要なのは保険の加入の仕方(契約形態)です。

保険に加入する場合には登場人物が3人でてきます。1.契約者(=保険料を負担する人)、2.被保険者(=保険をかけられる人)、3.受取人(=保険金を受け取る人)の3人です。この3人の設定の仕方で同じ保障内容、保険金額だったとしてもそれぞれ税金のかかり方が下記の表のように異なってきます。

ちなみに、医療保険やがん保険等の給付金に関しては税金はかかりませんので、給付金額を全て受け取る事が出来ます。今回解説するのは死亡保険金に関してになります。


例えば、夫が3,000万円の死亡保障に加入しており、契約時から死亡した時までに支払った保険料の総額が60万円だったとすると(月々の保険料5,000円×12か月×10年後に死亡)、
妻が受け取る保険金にかかってくる税金の種類と税額は以下のようになります。
それぞれ、詳しくみていきましょう。

①相続税

上記表の①のように、契約者(=保険料負担者)と被保険者が同一である契約形態で被保険者が死亡した場合、その死亡保険金は相続税の課税対象となります。

例えば、契約者が夫、被保険者が夫、受取人が妻のような場合です。受け取った生命保険金は「みなし相続財産」として、遺産の総額に含められますが、この契約形態だと一定の生命保険金が非課税とされる税制上の特典があります。

相続人が保険金を受け取る場合に限りますが、「500万円×法定相続人の人数」が非課税金額となります。例えば、妻以外に子供が2人いた場合、相続人の人数は3人となりますので、非課税金額は、
500万円×3人=1,500万円
となり、相続税の対象となるのは
3,000万円-1,500万円=1,500万円
となります。

この1,500万円以外に、一定額以上の遺産があると相続税がかかってきますが、多くの人は相続税がかからないでしょう。遺産総額が多い人、特に不動産を多くもつ人は注意が必要です。

②所得税

契約者と受取人が同一の契約形態で、被保険者が亡くなった場合は、所得税の扱いとなります。契約者が妻、被保険者が夫、受取人が妻のような場合です。

受け取った生命保険金3000万円は、一時所得として他の所得と合算されて総合課税されます。なお、所得税のほかに住民税も課税されます。

税額は、その保険金額と保険金を受け取った人の収入によって変わってきます。
計算式は以下のようになります。
3,000万円-60万円(払込み保険料総額)-50万円(特別控除)=2,890万円
2,890万円×1/2=1,445万円

この1,445万円が受け取った人のその年の収入に合算されて所得税と住民税が計算されます。所得税率が10%だとすると約140万円が、20%だとすると約290万円が所得税としてかかってきます。住民税は一律10%なので約140万円も住民税としてかかってきます。

つまり、400万円の所得の人がその年に、上記の保険金を受け取ると、400万円+1,445万円=1,845万円の所得として、所得税と住民税がそれぞれ計算されて課税されます。その年だけ高額所得になるイメージです。

保険金と払込み保険料の差が高額であればあるほど、税額は高くなってくるため注意が必要です。

③贈与税

3人の登場人物(契約者、被保険者、受取人)がすべてばらばらの場合には贈与税という扱いになります。贈与を受けた人、1人について年間110万円の基礎控除がありますが、通常、3つの契約形態の中で最も税額が高くなる可能性が高いため注意が必要です。

計算式は、
3,000万円-110万円(基礎控除)=2,890万円
2,890万円×贈与税率50%-250万円(控除額)=1,195万円
が贈与税額となり、税金で1,000万円以上取られてしまうことになります。

以上、具体例としてまとめますと、下記の図のようになります。①の相続税の形態と③の贈与税の形態では実に1,195万円もの税額の差があり、実際に受け取れる金額が大きく変わってきます。

このように同じ保険内容だとしても、契約形態によって思わぬ税金が発生してしまい、受け取れる保険金額が大きく減ってしまう可能性があるため注意が必要です。

特別な事情が無い限り、①の相続税の契約形態にしておくのが良いでしょう。保険加入を検討されている方は、保険商品だけでなく、このような契約形態についても注意してみてみましょう。

松井大輔 このコラムの執筆者
松井大輔(マツイダイスケ)
住宅資金に限らず教育資金や老後資金を含めた総合的なライフプランニングについて年間200件超の個別相談に応じているお金の専門家(ファイナンシャルプランナー)

コラムバックナンバー