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第8回 完成時の施主検査におけるチェックポイント

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物完成時に行う施主検査におけるチェックポイントの解説です。確認する項目によっては、建築の専門知識が必要なものもあるため、自分たちだけで全てを確認できるわけではないですが、できる限りチェックしておきましょう。

完成時の施主検査には、大きく分けて「発注内容と完成建物の照合」と「施工品質(不具合の有無)のチェック」の2つの目的があります。

1発注内容と完成建物の照合

まずは、「発注内容と完成建物の照合」について解説します。発注内容とは、建築工事請負契約にて発注したプラン(仕様を含む)のことです。建築会社がきちんと発注した通りに建てているかどうかを確認する作業ということです。

1-1.形状・サッシ位置・カウンターの高さ等

施主検査の際、現地では仕様書や図面を見ながら、建物の形状・間取りなどを確認していきます。各部屋のサイズ・広さまで確認するには、様々な箇所の寸法を計測して計算する必要があり、それはなかなか手間のかかる作業ですから、そこまでする人はほとんどおりません。
これまでに確認された事例のうち複数回の事例があったものとしては、サッシ位置が間違っているものがありました。また、カウンターの高さの相違も何度か確認されています。図面と見比べながら確認するようにしましょう。

1-2.カラー・設備

他にも何度かミスが確認されているものとしては、カラーの相違があります。これは、よくあります。たとえば、フローリングやキッチンの面材、扉や造作家具などのカラーです。但し、カラーは発注通りであるものの、思っていたものとイメージが異なるということもありますが、これは変更を認めてもらうことはできません。

ショールームやカタログの小さなサンプルと出来上がったものを見るとイメージと違ったということは多いのですが、これは建築会社のミスとして認められるものではないため、発注前の段階で十分に検討しておかなければなりません。

また、設備商品の誤りが見つかることもあります。タンクレスのトイレで発注していたのに、設置されたトイレは別物だったというものです。

ちなみに、契約書に添付していた仕様書や見積書の記載内容と一致しているものの、自分が発注したかったものと違っているということもあります。こういったミスを起こさないように、契約時の書類確認が重要ですから、契約前の人は「建築工事請負契約締結時の注意点」を読んで対応しておくとよいでしょう。

2施工品質(不具合の有無)のチェック

施主が発注した通りに建築会社が建てていたとしても、その施工においてミス・不具合などがあれば、それを指摘して補修を求めなければなりません。ここでは、よくある指摘事例を参考にして主なチェックポイントをあげておきます。

以下はチェックポイントの全てではなく、指摘の多いものに限って挙げています。

2-1.建物外部のチェック

まずは建物外部から施工状況の確認をしていきます。ここでは、外構工事(門扉・塀など)を含めておりませんが、契約対象に外構が含まれる場合にはそちらもチェックしておくべきです。

○基礎のひび割れ

建物外部から見た基礎は、コンクリートの上からモルタル塗りされていることがほとんどです。このモルタルはひび割れが生じやすいため、数年後にはいくつかのひび割れが見られることもあります。しかし、新築完成時点でいくつもひび割れがあれば、たとえ軽微なひび割れであったとしてもその後の状況が少し心配されます。
巾0.3mm超のものは、すぐに補修してもらい、それ以下のものについては、半年後・1年後などのタイミングで変化していないか確認した方がよいでしょう。

○外壁シーリングの施工の粗さ

最近の住宅では、外壁がサイディング仕上げを採用していることが多いです。サイディングの継ぎ目はシーリングが施工されていますが、この施工が粗いことがあります。粗さにもよりますが、早期に雨水の侵入を許すような施工品質のものもありますから、きちんと確認しておきましょう。

○外部配管等の貫通部

建物の外壁には、外部と内部の配管等のために貫通した穴を開けている箇所が何箇所かあります。もちろん、そういった貫通部は穴を開けても大丈夫なところにあるわけですが、その貫通部の周囲の処理は防水上の観点で大切です。
例えば、エアコン配管用のスリーブの周囲、ダクトの出口、そしてサッシ周りなどです。壁内部の施工状況まで完成時に確認することはできませんが、シーリング処理が丁寧に施工されているか確認しましょう。貫通部の周囲からの雨漏りは非常に多いです。

また、雨樋を外壁に取り付けるために支持金物が使用されていますが、支持金物がぐらぐらしているようであれば、その取付け箇所から雨水が侵入することもあります。注意して見ておきましょう。

○バルコニー・ベランダ

ベランダも防水上の観点でチェックすべき箇所が多いです。最も指摘が多いのは、室内からベランダへ出る箇所にあたるサッシの下部です。ベランダに出てサッシの下部を覗いて見てください。ベランダに伏せるようにしてみるか、手鏡をあてて見るかです。

その部分のシーリングが施工し忘れていたり、施工が雑だったりすると、強い雨のときにベランダ床から跳ね返った雨水が内部へと侵入していきます。また、同箇所のビスが締められていないと、ビス穴から浸水することもあるのです。

2-2.建物内部のチェック

次に建物内部のチェックポイントをあげていきます。但し、内装仕上げ材などの傷や汚れについては除外します。傷・汚れはご自身で気になる箇所については建築会社に補修を要望してください。新築ですから、多少細かなものでも対応してもらえることが多いです。
但し、あまりに些細なことを大量に指摘することは、関係悪化や本来なら補修してもらえる指摘箇所まで対応を拒否されることもあるので、限度を考えた方がよいでしょう。

○建具の動作確認

建物に取り付けられている扉・引き戸・サッシなどは全て動作チェックしましょう。開閉が重すぎるならば、調整を求めてください。女性の力では重すぎると感じるならば、遠慮なく調整を求めてよいレベルです。
鍵の施錠・開錠テストもしておくべきです。施錠しづらく、無理にしてみたら固くて開錠できないということもよくあります。
室内扉と周囲の枠の隙間が位置によって大きく異なることがあります。扉が傾いた状態で取り付けられているとそうなりますから、これも調整してもらいましょう。
完成後しばらくしてから、いくつかの扉の開閉が重くなってくるようであれば、再調整を依頼すべきですが、あまりにひどい場合は建物の傾斜も確認しなければなりません。

・床・壁の傾き
床や壁の傾きも完成時点でチェックしておきたいポイントです。

完成時点で許容範囲を超える傾きがあれば、補修等の対応を求めていく必要がありますが、実は完成時に傾きがなくてもしばらくしてから地盤沈下により傾いてくることがあります。完成時に傾きを計測して傾きがないことがわかっていれば、しばらくしてから生じた傾きは地盤に起因する可能性を疑うことができます。
よって、できれば計測しておきたいものです。但し、一般の施主は、専門家が使用するような計測器具を持っていないですし、計測方法や判定基準がわかりづらいでしょう。ここは専門家に依頼することも考えるとよいでしょう。

・水周りの動作確認・漏水チェック

新築住宅であるにも関わらず、建物内部の配管設備から漏水する事例はいくつも確認されています。単純に排水管の一部をつなぎ忘れていたということもあれば、継ぎ目がしっかり固定されていなかったということもあります。

確認する方法は、実際に水道を使うことです。キッチンやトイレ、風呂、洗面で水を流して排水し、配管経路の確認を行います。キッチンや洗面台のすぐ下では簡単に排水管を目視することができるので、必ず見ておきましょう。問題は床下ですが、それについては次の項目で説明します。

2-3.床下のチェック

床下に配管するのはどの住宅でも同じですが、確認するためには床下へ潜らないといけません。床下点検口を開けて進入し、奥まで見に行くことができればよいのですが、床下はあまり安全とは言えません。釘が出ているときもあるので怪我をする恐れがあります。また、配管を固定する金物を動かしてしまうなど、かえって住宅にダメージを与えるリスクもあります。

施主自身で確認するのであれば、点検口から覗いて確認できる範囲としておいた方が無難でしょう。

○配管からの漏水チェック

キッチン・洗面などで排水した後に床下で、排水管から漏水が無いか確認します。稀に上水から漏水していることもありますが、排水からの漏水の方が多いです。

○断熱材

断熱材の施工不良は最も指摘が多い項目です。これにより、エアコン代(電気代)のコストアップや快適性の低下につながりますので、重要項目です。この断熱材が落ちそうになっている現場は非常に多いです。点検口からはすぐ近くしか確認できないのが残念ですが、心配なら専門家に床下へ潜ってもらいましょう。

○構造部

床下では基礎の内側や土台などの主要構造部を直接確認することができます。柱は壁内部にあるため直接確認できないものの、床下や小屋裏では確認できる主要構造部があるのでぜひ見ておきたいものです。
構造部で確認したいものの1つが基礎のひび割れです。建物外部の基礎は表面にモルタルが塗られていてコンクリートを直接確認できませんが、床下側はモルタルがないためにコンクリートを直接確認できるというメリットがあります。ここにひび割れがあれば、構造部のクラックです。
また、土台や大引きに取り付けられた金物も確認したいポイントです。金物のぐらつきは触れることで確認できます。ただ、専門性が求められる項目でもあるため、施主自身で判断できないことは多いです。

2-4.小屋裏のチェック

最後に小屋裏のチェックポイントです。小屋裏は屋根の下側ですが、点検口から確認することができます。本来は小屋裏内部へ上がって確認したいところですが、こちらは床下よりも危険なのでお勧めしません。
体重をかけてはいけないところに載ってしまい、天井材を破って落ちて大けがをした人もいますので、点検口から覗いて確認できる範囲に留めておきましょう。専門家に依頼するのであれば、内部の確認までお願いした方がよいでしょう。

○断熱材

小屋裏においても断熱材の施工状況はきちんと確認しておきたいものです。断熱材は、隙間なく設置されている必要があるのですが、乱雑に設置されているようであれば補修を求めましょう。

○構造部

梁や小屋束などの構造部を確認しますが、やはり注目したいのは金物です。ただ、点検口から手の届く距離にある金物は少ないので、ごく一部の確認になってしまいますが仕方ないでしょう。

○染み

小屋裏では注意深く野地板(屋根の下側の面)を目視確認してください。漏水があれば染みが付いています。但し、染みがあれば全て漏水だとは言えません。建築中の資材搬入時などの現場で濡れていることもあるからです。染みが発見されれば、その理由を建築会社に尋ねるとよいでしょう。

3専門家の利用も検討する

ここまでにいくつかの代表的なチェックポイントを挙げてきました。
いずれも大事な項目ばかりですが、なかなか施主自身で適切にチェックするのは難しいと感じたのではないでしょうか。ここに挙げた項目以外で問題が発見されることもありますから、専門家(できれば建築士)に診てもらうことも考えた方がよいでしょう。
長く住み続ける住まいであり、高い建築費もかけているわけですから、投資しておいてもよいところではないでしょうか。

荒井 康矩 このコラムの執筆者
荒井 康矩(アライ ヤスノリ)
2003年より住宅検査・診断(ホームインスペクション)、内覧会同行、住宅購入相談サービスを大阪で開始し、その後に全国展開。(株)アネストブレーントラストの代表者。

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