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第6回 建築工事請負契約締結時の注意点

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建物のプランの打合せが進み、発注者(=施主)と受注者(=請負者・建築会社)の間で工事請負代金などの諸条件も決まれば、いよいよ建築工事請負契約の締結です。この契約を締結すれば、発注者側の都合で契約解除する場合には違約金が発生する等の負担があるため、後戻りは難しくなります。

契約前には、最低でもここで取り上げたことについては、しっかり確認しておきましょう。

1建築工事請負契約の前にプランを決めておく

建築工事請負契約を締結すれば、前述したように後戻りは難しくなります。よって、契約する前に施主と建築会社の間で様々な条件面を確認しあって合意しておかなければなりません。工事請負代金や引渡し日などもその1つですが、どのような住宅を建てるかという点もそうです。

どのような住宅を建てるかということについては、仕様書や設計図で明確にします。理想としては、建物の詳細に至るまで全て契約前に決めておくことです。例えば、間取りはもちろんですが、内装仕上げ材として使用する商品やコンセントの位置・数なども含めた全てです。

しかし、現実にはそういった詳細なところまで、契約時点で取り決めていることは多くありません。間取りや建物の大きさ(面積)、グレード感などをプラン図やパンフレット、展示場などで確認した段階で契約を締結し、それから詳細について打ち合わせで決めていくことが多いです。

施主側としては、プランの詳細まで決めてから最終見積りを提示してもらい、その後に契約を締結することが望ましいです。一方で建築会社としては、詳細まで打合せして図面を作成したものの契約できないときのリスクを考えており、先に契約を結ぼうとする傾向が強いのです。

この建築会社のリスクとは、それまでにかけた時間や手間(設計料を含む)を無駄にしてしまうことです。

施主としては、建築会社の都合にばかり合わせていると施主のリスクが高まりすぎるため、契約前にできる限りプランの詳細まで詰めるようにした方がよいです。敷地配置図・各階平面図・立面図・断面図ぐらいは提示してもらい、仕様は見積書で確認するなどの対処が望ましいです。

2見積書と設計図を添付する

建築工事請負契約を締結する際には、その契約書に見積書と設計図を添付してもらう必要があります。このようなことは当たり前のようにしてくれそうなものですが、建築会社によっては契約行為の基本的なことができていないこともあるので注意しましょう。

2-1.適切な発注内容の見積書を添付

契約書に添付する見積書ですが、最終的に施主と建築会社が合意した見積書が添付されていることを確認しなければなりません。打合せを何度も重ねていき、何度も見積書を作成し直してもらった結果、どれが互いに合意したものであるかわかりづらくなることがあります。

見積書に記載されている総額だけを見て契約書に署名・押印したものの、見積書に記載された項目等に間違いがあればトラブルになってしまいます。

2-2.適切な発注内容の設計図・仕様書を添付する

設計図についても見積書と同じことが言えます。互いに合意した内容が反映された設計図や仕様書であることを確認してから契約書に署名・押印しましょう。打合せの時には正しい設計図で話あっていたのに、契約書への添付間違いをきっかけに現場の工事も間違ったものに合わせて進んでしまう可能性もあります。

また、打合せ内容のなかで契約時点の設計図や仕様書に反映されていないものがあれば、打合せ記録などの書面を作成して契約書に添付する方法も考えましょう。

3建築工事請負契約書と約款の両方が必要

契約の締結日よりも前に(前日までに)、必ず、建築工事請負契約書をもらっておき、事前に内容をよく読んで理解しておきましょう。契約書には普段は目にすることのないことが数多く記載されており、慣れていない人が一度読んだだけで理解するのは難しいものです。

また、初めて臨む契約の場でわからないことを1つ1つ質問して確認できればよいですが、言い出せないという人も少なくありませんから、前日までに確認することを強くお勧めします。

4追加・変更工事の発注期限を確認する

契約前に確認しておきたいことの1つが、追加工事や変更工事をいつまでに申し出れば対応してもらえるのかという点です。

前述したように、契約時点で詳細まで全て決めておくことが理想ではあるのですが、そうではない取引の方が多いです。そして、契約後、いつまでも追加や変更に対応してもらえるというわけではありません。よって、期限を必ず確認してから契約するようにしましょう。

5建築工事請負契約書の基礎的なチェックポイント

それでは、建築工事請負契約書およびその約款のなかで確認しておくべきチェックポイントを紹介します。契約書に記載されていることは全て大事なことばかりですから、その全てを読み理解することが前提です。
ここでは、よくトラブルになっている項目に絞って紹介しています。

5-1.着工日・完成日・引渡し日を明記する

施主から受ける相談も多岐にわたりますが、「契約したのに、いつまでも着工してくれない」「いつまでたっても完成しない」「引渡しがどんどん延期になる」といったスケジュールに関する相談が非常に多いです。

契約書に明記している場合、建築会社の一方的な都合により、このスケジュールが守られていないのであれば契約違反を問える可能性もありますが、そもそも契約書でそれぞれの時期が不明瞭だということがあります。

着工日・完成日・引渡し日は全て基本的な項目ですが、これが決められていないというのは本来ならば、ありえないことです。しかし、一部の建築会社では、そもそもこれらを記述する欄すら用意していないこともありました。

着工日・完成日・引渡し日については、口頭で説明を受けるだけではなく、契約前に確認しておき、その確認した日程が記述されているか契約書でチェックしてください。

5-2.工期延長・工事遅延

どの住宅の建築工事においても、想定以上に工期が長引く可能性はあるものです。建築会社によっては、ギリギリの工期で予定を組んでいることもありますし、スケジュールに十分なゆとりを見ていることもあります。低価格を売りにしている建築会社は工期にゆとりを見ていないことが多いようです。

いずれにしても、工事が遅延し工期が長引いてしまったときのことを想定して契約で取り決めしておかなければなりません。

5-3.施工の技術的な基準

契約時に添付する仕様書や設計図において、施工に関する基準を明確にすることは難しいものです。この仕様書や設計図を補うものとして、技術的な基準を何とするか明記しておくことが求められます。

建築基準法および同法施行令や関係法令を遵守すること、また住宅金融支援機構の住宅工事仕様書、日本建築学会の標準仕様書、住宅瑕疵担保責任保険設計施工基準を基準とすることが記載されていると安心です。

5-4.契約解除

どのような契約でも、状況次第では契約解除を考えることがありえるものです。万一のときに備えて、契約解除の取り決めも確認しておきましょう。

契約で取り決めた着工日を過ぎても着工しないときや工事が大きく遅延して完成日が大幅に遅れるとき、完成する見込みがないときには、施主から契約解除することができ、なおかつ違約金または損害賠償金を求められる内容であることが望ましいです。

5-5.契約違反の時の取り決め

「契約解除」のところでも触れましたが、状況次第では契約解除もあります。そして、状況次第では建築会社が契約違反を起こすこともあります(もちろん施主が違反することもある)。契約違反があったときの対象方法を定めておかないと、その違反の解決でも揉めてトラブルが大きくなっていくことがあります。

違約金の金額の計算方法や契約解除できることなどが明記されているか確認しましょう。

6保証・アフターサービス基準を確認する

建築会社は一般的には施主に対して保証内容やアフターサービス基準の内容を書面で説明するものです。しかし、大事なはずの保証やアフターサービス基準の説明はなされず、書面を渡す程度で済ますことが多く、施主が内容を理解していないことが多いです。

建築会社によっては、引渡しのときまでアフターサービス基準の説明を拒んだり、その書面を見せようとしなかったりすることもあります。その時点で信用すべきか再検討したいところです。契約前に書面で内容を提示してもらうよう依頼してください。

契約の時にはあまりに多くの確認すべきことがあり、ここであげたことだけで十分だというわけではありません。見積書、設計図、建築工事請負契約書と約款についてはよく見て内容を理解するよう努めてください。

荒井 康矩 このコラムの執筆者
荒井 康矩(アライ ヤスノリ)
2003年より住宅検査・診断(ホームインスペクション)、内覧会同行、住宅購入相談サービスを大阪で開始し、その後に全国展開。(株)アネストブレーントラストの代表者。

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