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第2回 マイホーム建築に関するトラブル事例①

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施主と事業者、どちらもがトラブルの原因になり得る

マイホーム建築は、不動産や建築など実に様々な分野が絡み合い、知識のない施主(建築主)にとってマイホームを取得するまでのプロセスは非常に複雑です。そのため、多くの施主は工務店やハウスメーカーの担当者の「お任せ」でプランを提示してもらい、後は目で見てわかるような客観的価値(設備の機能や構造の性能)だけで、マイホームを建築するかどうかの判断をしているというのが現状であると考えられます。そして、十分に理解しないままに建築をしてしまったため、後に「こんなはずではなかった」というようなトラブルが発生するケースがあるのです。

また、もちろん手抜き工事や施工不良など、事業者側の責任に起因するものもあります。さらに、マイホーム建築を担当した営業マンがトラブルの原因となるケースもあります。それは、営業マンが自社の利益を優先するあまり、施主の暮らしを第一に考えた提案ができなかったり、物件の悪い部分をお客様に説明をしなかったりすることがあるからです。

施主の認識不足によるトラブル事例

まずは、施主の知識不足が原因となったトラブル事例を紹介します。「予定期日までに工事が終わらなかったため引越すことができず、予定外の賃料がかかってしまったので、これを事業者側で負担して欲しい」と主張した施主A氏と、それに応じない事業者の間でトラブルが発生しました。A氏と事業者の話合いでは、遅延の原因として「施主からの度重なる変更指示」があったことが分かりました。そして、A氏は変更指示によって工期遅延が発生するという認識をしていませんでした。このトラブルの原因はA氏にありますが、しっかりと変更に伴う遅延を伝えておかなかった事業者にもあるといえるでしょう。

結果としては、A氏と事業者が互いに非を認め、A氏の予定外の賃料を折半して負担することになりました。

このようなトラブルを起こさないために、施主としては、事前に「いつまでなら設計、工事内容の変更が可能であるのか」をしっかりと事業者に確認をすると共に、変更依頼の際には「どの程度の追加代金が生じるのか、また工期遅延の可能性があるのか」を認識しておく必要があるのです。また、施主の認識不足が原因となるトラブルとしては、「完成後のイメージが違う」というものもあります。事業者が事前に設計図やサンプルなどで説明をしていると思いますが、施主に完全にイメージが伝わっていないということはよくあることです。これを防ぐためには「ショールームで内装・外装のサンプルを営業マンと一緒に見る」「3Dソフトなどで完成後のイメージを立体化させて提示してもらう」というようなことが考えられるでしょう。

自社利益を第一に考えた営業マンが原因となったトラブル事例

次に、営業マンが原因となったトラブル事例を紹介します。マイホームを建築しようとしていた施主B氏は、事業者から土地購入と戸建住宅建築の提案を受けました。担当の営業マンは紹介した土地がいかに新生活に適しているかを力説し、さらに建築内容やローンの組み方までを熱心に説明してくれました。B氏はその営業マンを信じており、契約直前まで話を進めたのですが気になることがありました。購入しようとしている土地は通りに面しており、車が絶えず行き来していたのです。B氏はその騒音によってぐっすりと眠れないのではないかと思い、営業マンに質問をしました。すると返ってきた返答は「夜は車の往来はめっきり減り、騒音はない」というものでした。 

しかし、B氏が物件の確認のため夜間に訪問した際に車の通行量は減っておらず、うるさいままであり、これに怒ったB氏は営業マンにクレームを入れ、トラブルとなりました。B氏はこのトラブルについて、第三者である建築の専門家C氏に相談をしました。C氏があらためて建築内容やローンの組み方などを精査したところ、建築見積にはB氏の希望する住まいには不必要な高価な建材が使用されていたり、ローン返済計画にも無理があったりすることが分かりました。営業マンは物件を売りたいあまり、B氏の暮らしを第一に考えることを疎かにしていたのです。結果として、当然B氏は契約をしませんでした。

次回は、離婚と住宅ローンに関するトラブル事例を紹介します。

平柳 将人 このコラムの執筆者
平柳 将人(ヒラヤナギ マサト)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、大手資格取得の専門予備校LEC<東京リーガルマインド>で講師として働きつつ、中央大学法科大学院を卒業。現在、(株)M&Kイノベイティブ・エデュケーション代表取締役のほか、(一社)日本不動産仲裁機構の専務理事兼ADRセンター長を務める。

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