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第20回 マイナンバーに関するトラブル事例

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「マイナポイント」が話題になっている昨今ですが…

マイナンバーカードを使って予約・申込を行い、選んだキャッシュレス決済サービスでチャージやお買い物をすると、そのサービスで利用金額の25%分のポイントがもらえるという「マイナポイント」。

この行政の取り組みをきっかけに、今、マイナンバーカードを取得する人が増えてきています。今後は保険証として利用ができたり、銀行口座との紐づけが想定されていたりと、より一層の活用が予定されているマイナンバーですが、だからこそ、漏洩を防ぐ等、私たちはこの個人番号を大切に扱っていかなければなりません。

なお、不動産に関する取引を行っている方は、別途、それに即したマイナンバーの取り扱いルールを知っておかなければなりませんが、やはり未だそのルールが浸透しきってはおらず、例えば賃貸オーナーを狙ったマイナンバー不正取得のトラブルもあります。

賃貸オーナーを狙ったマイナンバートラブル

不動産賃貸に関して賃貸オーナーがマイナンバーを提示する必要があるのは、借主に対してのみであり、さらに「貸主が個人で借主が法人(サブリース契約の場合は不動産会社等)であり、かつ、家賃や地代、権利金等が年間15万円を超える場合」に限られます。したがって、例えば、個人の入居者等とのマイナンバーのやりとりは発生しません。しかし、実際には次のようなトラブルが報告されています。

<トラブル例1>

賃貸オーナーの元に、自治体職員と名乗る男から、「賃料収入とマイナンバーを紐づけて税金を算定しなければならないため、速やかにマイナンバーを提示して欲しい」と言われた。

<トラブル例2>

物件の入居者は全て個人であるにもかかわらず、入居者の代理と名乗る男から、「法定調書の作成に賃貸オーナーのマイナンバーが必要だから提出して欲しい」と言われた。

また、入居者のマイナンバーを提出して欲しい、というトラブル事例もあります。

<トラブル例3>

賃貸オーナーの元に、地域福祉課職員と名乗る男から、「マイナンバーで管理する住民サービス台帳を制作するから、1週間後までに入居者全員のマイナンバーを集めて提出して欲しい」と言われた。

今後、マイナンバーがより重要性を増した際には、さらにトラブルも増えていくと想定されます。賃貸オーナーのみならず、マイナンバーを持つ全ての人は、自分自身のマイナンバーの取り扱い方法を知っておき、様々な取引の際など、安易にこれを提示しないように注意をしましょう。

平柳 将人 このコラムの執筆者
平柳 将人(ヒラヤナギ マサト)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、大手資格取得の専門予備校LEC<東京リーガルマインド>で講師として働きつつ、中央大学法科大学院を卒業。現在、(株)M&Kイノベイティブ・エデュケーション代表取締役のほか、(一社)日本不動産仲裁機構の専務理事兼ADRセンター長を務める。

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