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第12回 太陽光発電に関するトラブル事例

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太陽光発電において特徴的な「隣人トラブル」

前回(第11回)のコラムで取り上げた「ZEH住宅」もそうですが、近年では、戸建住宅の新築時に太陽光発電機器を設置することが一般的になってきています。

太陽光発電に関するトラブルとしては、「太陽光発電パネルの破損」「想定していた発電量がない」など、発電機器に関するものや、「契約をした事業者が倒産してしまった」「強引な訪問営業で契約をしてしまった」などの契約に関するものがありますが、さらに、特徴的なトラブルとして「隣人トラブル」があります。

太陽光発電に関する隣人トラブルの多くは、設備オーナーの予想もしない形で発生しています。何故ならば、トラブルを経験するほとんどの方が、太陽光発電機器がどのような影響を隣人に及ぼしてしまうのかが分からないからです。

普段の近所付き合いが大きく関係する場合も

隣人トラブルの中には、「普段から隣人との関係性があまり良くない」もしくは「挨拶も満足に交わさない」など、太陽光発電機器設置前からの隣人関係に原因を求めることができるものもあります。普段から良好な接点を隣人と持っていないため、機器設置に理解を示されないばかりか、少しのことであっても「気に障る」ということになってしまうのです。

なお、こうした隣人トラブルは、トラブル解決のための話し合いの場を持てば、比較的スムーズに解決することができます。設備オーナーに悪気がなかったということと、今後問題解決に取り組むことを伝え、さらに謝罪の言葉があれば、隣人も理解を示す可能性は高くなります。ここでは、そのパターン事例をいくつかご紹介します。

「主観や感じ方」が原因となるトラブル

まずは、「音のトラブル」です。太陽光発電を設置するときには「パワーコンディショナー」という機器が取り付けられますが、これが動作音を発します。しかし、この音は一般的にエアコンの室外機レベル。通常であれば気になるものではありませんが、トラブルのもとになってしまうことがあるのです。

次に「電磁波トラブル」。「電磁波の影響で体調が悪くなった」と言われてしまうものです。相手の主観で一方的に言われてしまうことも多く、人間関係が構築できていないことに大きな原因である場合が多いといえます。

トラブル防止には隣人に対する配慮が大切

発電機器を地面に設置している場合は「機器周辺に雑草が生い茂ることによって火災の危険性がある」と苦情を言われる事例があります。これは、機器オーナーが雑草を定期的に刈り取るなどの雑草対策を講じれば良いので、オーナーが隣人に対する配慮を怠っているケースであるといえるでしょう。

また、「反射光トラブル」もあります。太陽光発電機器設置による反射光の発生は、事前に計算をすれば分かるため、隣人宅に反射光が当たる場合は、事前に「どの程度当たるのか」を説明することができます。軽度なものであれば、気になる時間帯のみカーテンをして欲しい旨を依頼しておくべきであると言えます。もちろん、それで隣人が納得するかは別ですが、それこそ普段からの関係づくりが重要になってくるでしょう。

住民同士のトラブルはどのような形で解決をするにせよ、多くの場合はそれ以後も隣人であり続けます。顔を合わせる機会も多いため、裁判などに発展してしまうとどうしても気まずくなり、生活しづらくなってしまいます。だからこそ、今後の関係性も考慮すると、「将来の関係性」をも加味する話合いによる解決(ADR)が望ましいと言えるのです。

平柳 将人 このコラムの執筆者
平柳 将人(ヒラヤナギ マサト)
慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、大手資格取得の専門予備校LEC<東京リーガルマインド>で講師として働きつつ、中央大学法科大学院を卒業。現在、(株)M&Kイノベイティブ・エデュケーション代表取締役のほか、(一社)日本不動産仲裁機構の専務理事兼ADRセンター長を務める。

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