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第20回 中古住宅の内見時の注意点

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古住宅を買おうと考えて物件探しをするなかで、いくつもの物件を内見することになるでしょう。なかには、1つか2つの物件を見ただけで購入する人もいますが、不動産の目利きに慣れていないならば、4~5物件程度は見ておきたいものです。

今回は、中古住宅の内見時に注意すべきこと、見ておくべきチェックポイントを紹介します。最初に内見したときだけに限らず、2度目の内見時や売買契約を締結する前の最終確認などにも活用してください。

契約前の内見時に確認すべき点は、大きく分けると以下の3点です。

  1. 立地・環境
  2. 土地条件
  3. 建物の条件・状態

この3点は、いずれも中古住宅購入に際しては外すことのできない大事なものですから、以下でそれぞれの詳細を読んで学んでください。

1立地・環境

不動産を購入するとき、何よりも大事だと言われているのは立地・環境です。不動産購入は、大きな資金を投じて購入するものですが、単なる消費財の購入ではなく資産の分散という側面もあります。それは、収益用に購入する不動産に限らずマイホームでも同じです。もちろん中古住宅でもそうです。

資産価値という意味では、立地・環境の影響が非常に大きいですから、購入する前にはぜひチェックしておきたいポイントということになります。

日本では、建物の資産価値が時の経過とともに目減りしていくことが一般的ですが、土地に新しいも古いも関係ありません。つまり、土地の立地や環境が最も資産価値に影響が大きいということです。

但し、資産価値を重視した立地・環境を選択することが全ての人にとって最良だというわけではありません。これから発展していく街については、資産価値の維持や向上が見込まれるため良い立地だと言えますが、その立地は誰にとっても良いものだと言えないのは明白です。

資産価値と同時に、買う人、暮らす人にとってよい立地・環境であるかどうかが重要になります。その視線で見ると、勤務先・家族(場合によっては親類も)などとの位置関係、それぞれの都合に合う最寄り駅・スーパー・病院・学校などのことも考えた立地・環境ですね。

2土地条件

2つ目に考えるべきは土地の条件です。日当たりのよい土地か(日照)、風の通りがよいか(通風)の2点は基礎的な条件です。但し、周囲の建物の変化(建替え・取り壊し等)によって条件が変わることもありますから、周囲の土地の広さや建物の古さ、空き地などの状況も確認しておきたいものです。

また、中古住宅を購入するときには、その建物の築年数にもよりますが、将来の建替えや増改築のことも考慮した土地条件のチェックも大事です。

その土地にかかる法規制などによって、建築できる建物の大きさ(床面積)や高さ(階数)が制限されているからです。将来、子供が大きくなってから増築しようと思っていてもできないこともあるのです。床面積や階数については不動産会社に説明を求めて理解してから購入判断しましょう。

土地条件についてもう1つ大事なことは、土地の形状です。多くの土地は四角形ですが、なかには三角形や鍵型(旗竿地)の土地もあります。そういった変形地では、建替え時などにプラニングで苦労することになります。

また、擁壁に接する土地にも注意したいです。古い擁壁では著しく劣化しているケースもあり、豪雨の際に崩壊などのリスクがあるケースもあります。また、小さな擁壁(高さ2メートル未満)では規制がないために、もともと強度の弱いものもあります。

他にも土地条件で注意しておきたいことがあります。この数年、豪雨が話題に上る機会が増えましたが、豪雨時に敷地内に溜まった水が滞留して床下や建物に影響を与えることもあります。特に道路より敷地の方が低い場合には排水計画をきちんと練っている住宅でないと毎年のように被害を受けることもあります。

3建物の条件・状態

最後に建物に関する内見時や契約前のチェックポイントを紹介します。

3-1.間取り・広さ

基礎的なチェックポイントとしては、間取りや広さです。必要な間取り、広さであるかどうかは多くの人がその物件を見学する前にチェックしていることでしょう。ただ、実際に現地を内見したときに思ったより狭いと感じることは少なくありません。

内見時にはメジャーを用意しておいて気になる箇所を計測し、現在住んでいる自宅と比べてみましょう。数値だけを見たり、1つの空間だけを見たりしてもわかりづらいことがあるので、実際に住んでいる自宅と比較するとわかりやすいです。

また、空き家を内見した場合、家具や荷物がないために広く感じることがあります。この対策としても、メジャーで計測して自宅を比較すると誤解を無くすことができるでしょう。

3-2.建物の劣化状態の確認

建物を確認する上で大事なポイントの1つは、劣化状態の確認です。中古住宅ですから、建物のあらゆるところが劣化しているのは当然のことです。

しかし、築年数の割に状態の良い建物もあれば、逆に築年数よりも相当に劣化が激しい建物もありますから、劣化は当然だと単純に解釈せず、どの程度の劣化状態であるか確認する必要があるのです。例えば、築10年の割に20年以上経過しているのではないかと思える住宅もあるわけです。

基礎や外壁、室内の壁・床・天井、床下、屋根裏、建具などの状態を丁寧に確認しておきたいものです。

3-3.新築時の施工品質

中古住宅では劣化状態を確認したとしても、施工品質は関係ないと考えがちです。新築してから何年も経過しているから無関係だと考えるかもしれませんが、新築当時にあった施工不良が補修しないまま放置されているならば、中古住宅として売買される時点でも問題を抱えたままになっています。

その補修対応をするかどうかで、その後の劣化進行に影響あることもありますし、致命傷となっていることもあります。劣化状態だけではなく、新築当時の施工品質も確認することが大事なのです。

ただ、劣化状態も施工品質も建築知識や経験のない人が見極めるのは困難ですし、仲介する不動産会社にもわからないことが多いです。そこで、建築士によるホームインスペクション(住宅診断)を利用してみてもらうとよいでしょう。

2018年4月から、中古住宅の売買に際して不動産会社から買主や売主にホームインスペクションについて説明することが義務化されたため、説明を受けることになるでしょう。その際に、不動産会社からホームインスペクション会社を紹介されることもありますが、できれば第三者性を重視して自分自身で会社を探して依頼するとよいでしょう。

中古住宅の契約前、内見時に確認すべきこととして、立地・環境、土地条件、建物の条件・状態について紹介しました。いずれも大事なことですから、確認を怠らないようにしましょう。

荒井 康矩 このコラムの執筆者
荒井 康矩(アライ ヤスノリ)
2003年より住宅検査・診断(ホームインスペクション)、内覧会同行、住宅購入相談サービスを大阪で開始し、その後に全国展開。(株)アネストブレーントラストの代表者。

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