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第2回 建築会社の選び方(1)タイプ別に見る家を建てる会社

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文建築で家を建てるときの悩みごとの1つが、建築会社選びです。どの会社に依頼するべきか悩むのは当然ですし、また何を考慮して判断するべきかわからない人も多いでしょう。建築会社を選ぶときにチェックするべきポイントをご紹介します。

建築会社を選ぶには、どういうタイプの建築会社があるのか把握するところから始めなければなりません。ここでは、注文建築で家を建てるときに依頼先となりうる会社をタイプ別に特徴などを見ていきます。

1ハウスメーカー

多くの人がハウスメーカーに工事を依頼しています。ハウスメーカーと言ってもいろいろな会社があり、誰もが知っているような有名・大手メーカーから、営業エリアをある程度、限定しているメーカーもあります。実は、この後に紹介する地域密着型の工務店との垣根は明確ではありません。

ハウスメーカーは、価格帯も幅広く、坪単価20万円台を謳っている会社から、坪単価90万円を超える高価格なものまであります。但し、坪単価20万円台を謳っている会社であっても、多少のプラン変更を加えるとすぐに30万円台、40万円台ぐらいにはなってしまいます。

価格帯が高い会社ほど、国土交通大臣の型式適合認定を受けたメーカーが多いのも特徴的です。型式適合認定とは、同じ型式で建てる住宅について国土交通大臣指定の機関で予め基準に適合していると認定されていることです。ハウスメーカーは、これによりコストダウン等のメリットがあるため、大手では型式適合認定を受けた工法をとっていることが非常に多いです。

予め決められた規格のなかで、プラン作りをする必要があるため、規格住宅と呼ばれることもありますし、ときにはカタログ住宅と呼ばれていることもあります。後に紹介する工務店や設計事務所からは、ハウスメーカーは自由度が低いと言われていますが、この点が影響しています。

但し、大手ハウスメーカーであっても、型式適合認定を受けた工法以外で建築することもあります。特に、木造軸組工法や木造壁組工法であれば、型式適合認定の工法ではないことが多いですから、ハウスメーカーに確認するとよいでしょう。

2地域密着型の工務店

地位密着型の工務店で家を建てる人もいます。地元の工務店で建てたいけど、そういった会社がどこにあるかわからないという声もあります。広告宣伝の経費を大手ハウスメーカーのように使っていないこともあってか、存在に気づきにくいことが難点とも言えます。

規模はいろいろあり、地元では有名な工務店というものもあります。地元で有名で高価格帯の大手ハウスメーカーほど高くないことから、選ばれることも多いようです。

坪単価は40万円台から60万円台までありますが、仕様レベルを含めたプランの自由度が高いため、プラン次第では坪単価80万円台ということもあります。しかし、仕様レベルを落として価格を抑えたくとも、低価格帯の大手ハウスメーカーほどには価格が下がらないため、とにかく価格重視という人にとっては低価格帯のハウスメーカーの方が金額あいやすいでしょう。

工務店にもよりますが、木造軸組工法を採用していることが非常に多いです。古くから日本で採用されている工法ですから、在来工法と呼ばれることも多いです。

メリットは自由度が高いこと、そして設計事務所に依頼するよりは安くなることが多いことです。

3設計事務所

設計事務所に依頼するパターンもあります。インターネットが普及してからは、建築家紹介サイトが増えたこともあり、設計事務所に直接依頼することもしやすくなったと言えるでしょう。

ちなみに、正式な資格の名称では建築士(一級建築士・二級建築士・木造建築士)ですが、設計者や建築家などと言われることもあります。なかには、建築家という呼称を使っているものの、建築士の資格を持っていない人もいるため、資格の確認はしておいた方がよいでしょう。

設計事務所の多くは小規模であり、1人もしくは2人で事務所を運営しているケースが多いです。5人を超える所員を抱える設計事務所は非常に限られます。

設計事務所に依頼する場合、施工は別の工務店に発注することが多いです。設計事務所では、設計と工事監理、建築確認申請のみを対応し、施工は別会社になるということです。工務店は設計事務所が紹介することが一般的ですが、施主が指定する工務店で建築できることもあるため、希望する工務店があるならば最初の面談時点で設計事務所に伝えておいたほうがよいでしょう。

なかには、設計事務所と工務店を兼ねていることもあります。その場合は自社で施工も行います。実は、前述の「1-2.地域密着型の工務店」でも建築士を社内に雇用していることも多く、設計事務所であるか地域密着型の工務店であるか、その区別は曖昧なものです。

設計事務所に依頼する場合も、工務店と同じく木造軸組工法を採用するケースが多いですが、鉄骨造や鉄筋コンクリート造(RC造)を採用することもあります。構造・工法については設計者の得意分野があるため、直接確認するとよいでしょう。

設計事務所に依頼するメリットは、自由度の高さです。こだわり、個性といったことを重視するならば、設計事務所に依頼すると一番可能性が高いと言えます。但し、設計者と施主の相性の問題もあるため、複数の設計事務所から合う人を探す作業は重要だと言えます。

価格帯は仕様レベルなどを含めたプランによる影響が大きいですが、地位密着型の工務店に依頼するより高くなる傾向が強いです。設計事務所の設計料(デザイン料のようなもの)が大きいからです。坪単価は50万円台から70万円台が多いです。

4その他

ここまでに挙げたパターン以外も家を建てる方法はあります。
たとえば、分離発注方式というものがあります。これは個別の工事を専門業者に直接発注していくもので、この方式をプロデュースする会社もあります。価格面のメリットがあるものの、デメリットも大きいですが、詳細は別の機会にまとめます。

また、工務店も兼ねた不動産会社に依頼するパターンもあります。建売住宅の分譲や売買仲介を主とする会社ながら、建設業の免許をもち一応は工務店としての活動もしているというケースです。建売住宅を買おうとしていた人が、最終的にはその会社で注文住宅を建てるということもあるのです。

但し、施工は下請けに丸投げしていることが多く、現場管理もせず放置していることが多いです。建築条件付き土地を購入して、家を建てるときはこれに該当することが多いです。

荒井 康矩 このコラムの執筆者
荒井 康矩(アライ ヤスノリ)
2003年より住宅検査・診断(ホームインスペクション)、内覧会同行、住宅購入相談サービスを大阪で開始し、その後に全国展開。(株)アネストブレーントラストの代表者。

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