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第19回 中古住宅を購入する流れ

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れまでに、注文建築や建売住宅を購入する流れを紹介してきましたが、今回は中古住宅を購入する流れについて紹介します。ここで取り上げる中古住宅には、一戸建てもマンションも含まれておりますが、いずれであっても購入の流れには大きな違いはありません。

1中古住宅とは

中古住宅とは、どういうものであるか念のために確認しておきましょう。

住宅の品質確保の促進等に関する法律において、新築住宅については以下のように定義しております。

「新築住宅」とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないもの(建設工事の完了の日から起算して一年を経過したものを除く。)をいう。

そして、国土交通省の告示「既存住宅状況調査技術者講習登録規程」では、既存住宅について以下のように定義しております。

「既存住宅」とは、新築住宅以外の住宅をいう。

既存住宅と中古住宅は基本的に同義で使われる言葉ですから、中古住宅とは、建物が完成してから1年を経過したものか、もしくは1年以内であっても誰かが居住したことのある住宅ということになります。

ちなみに、いろいろな問題の際に1つの基準として取り上げられることがある住宅金融支援機構のフラット35の融資においては、中古住宅を以下のようにしております。

竣工から2年を超えている、または既に人が住んだことのある住宅

法律や告示の内容と1年のずれがありますね。期間に関わらず、誰かが住んだことのある住宅であれば中古住宅と考えて間違いありませんが、築2年以下の場合には会社に相違があることだけ知っておけば十分でしょう。

2中古住宅の購入の流れ

それでは、中古住宅購入の流れについて説明しますが、その基本的な流れは以下のとおりです。

  1. ライフプラン・資金計画の検討
  2. 物件探し
  3. 購入の申し込み
  4. ホームインスペクション(住宅診断)の利用
  5. 売買契約の締結
  6. 住宅ローンの申し込み
  7. 引渡しと残代金の決済

以上が中古物件を購入する流れですが、各項目をもう少し詳しくみてみましょう。

2-1.ライフプラン・資金計画の検討

住宅購入計画を考えるところから始めましょう。頭金や諸費用の支払いに使う自己資金や金融機関からの融資額(住宅ローンの借入額)、購入する時期、価格帯などについて家族で話し合いましょう。

住宅購入に投じる資金は大きいですから、今後の人生におけるイベント(結婚・出産・子育て・教育費・老後)のことを考慮する必要がありますが、自分自身でこういったことを計算するのは容易ではありませんから、ファイナンシャル・プランナーに相談するのも1つの方法です。

2-2.物件探し

購入する物件の価格帯や住みたいエリアを検討したら、物件探しを始めましょう。中古住宅を探すのであれば、不動産ポータルサイトや不動産業者のサイト、チラシなどから物件情報を見つけて現地見学へ行く流れになります。

必ず複数の物件を見て比較検討するようにしましょう。いくつか物件見学するなかで、希望条件が変わることも少なくありません。都度、条件を調整して探す柔軟さも持つ必要があります。

2-3.購入の申し込み

購入したい物件が見つかれば、不動産購入申込書に、希望の購入額・氏名などを記入して売主へ提出します。多くの中古住宅において不動産仲介業者が媒介しておりますが、その仲介業者を介して売主へ購入意思を伝えることになります。

不動産業者が売主となっている物件もありますが、その場合は仲介業者を介さず売主と直接取引する場合もあります。買主から話を聞いていると仲介業者がいる取引かどうか把握していない人もおりますが、きちんと確認しておきましょう。

2-4.ホームインスペクション(住宅診断)の利用

中古住宅を購入する際、第三者の専門家に建物の診断をしてもらう人が非常に多くなりました。これをホームインスペクションや住宅診断と呼ぶことが多いですが、このホームインスペクションを利用するならば売買契約の前がお奨めです。

買ってから建物に重大な瑕疵が見つかれば、想定外の補修費用等が生じて困ってしまうからです。2018年4月からは、宅地建物取引業法の改正により不動産業者が買主(および売主)にホームインスペクション(住宅診断)を利用するかどうか意思確認することが義務付けられました。

つまり、国としてもホームインスペクションの利用を促進しているわけです。利用に際しては、建築士であり且つ既存住宅状況調査技術者の講習を修了した者に依頼するようにしましょう。執筆者の会社(アネストブレーントラスト)ではこの条件を満たしたものが担当しております。

2-5.売買契約の締結

ホームインスペクション(住宅診断)で大きな問題がなければ、いよいよ売買契約です。しかし、この売買契約の前には必ず不動産業者から重要事項説明を受けることになります。

重要事項説明とは、取引に際して重要な事項(物件や取引条件)について説明が義務付けられているもので、必ず売買契約の締結前に書面を提示して行うこととされております。

多くの場合、重要事項説明を受けてからすぐに売買契約を締結しております。2つとも大事なものですから、重要事項説明書と売買契約書の両方を契約日よりも前にもらっておき、その内容を熟読しておいてください。買主から「事前に読んでおきたいので、重要事項説明書と売買契約書の写しを送ってほしい」と言っておかないと、契約当日まで見せてくれないことが多いので注意しましょう。

なお、手付金の支払いは売買契約と同時が原則です。

2-6.住宅ローンの申し込み

住宅を購入する人の多くが、住宅ローンを利用しております。売買契約の前に仮審査をしておくことが多いですが、本申込みは売買契約の後です。本申込みに際しては売買契約書の写しも提出する必要があるので、契約が先になるのです。

住宅ローンの審査期間は、金融機関や時期などによって相違がありますが、概ね10日以内で審査結果が出ます。ただ、金融機関の提示するキャンペーン金利の条件が良い場合などには申し込みが多すぎるからか、審査機関が長引くこともあります。

2-7.引渡しと残代金の決済

住宅ローンの審査で承認を得られれば、引渡しへと進んでいきます。対象物件が空家もしくは売主が居住中でもすぐに退去できる場合は、売買契約から1カ月程度で引渡しに至ることが多いですが、売主の退去時期によっては売買契約から半年以上も先に引渡しということもあります。

引渡し時期は重要な取引条件の1つですから、売買契約の前に不動産業者から説明があるはずですから、きちんと説明を聞いておきましょう。

引渡し日には住宅ローンの融資実行および残代金の支払いも行います。そして、そのときに売主から買主へ鍵の引渡しを行うことで、対象物件は買主のものとなります。

ただし、その日に所有権移転登記申請を行うため、登記が完了するのはその数日後です。

荒井 康矩 このコラムの執筆者
荒井 康矩(アライ ヤスノリ)
2003年より住宅検査・診断(ホームインスペクション)、内覧会同行、住宅購入相談サービスを大阪で開始し、その後に全国展開。(株)アネストブレーントラストの代表者。

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