ヘーベルハウスを選ぶ上で知っておきたいこと

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ヘーベルハウスの家を建てる手順』シリーズをいったん中断して、今回はヘーベルハウスを選択肢に入れて注文住宅を検討している方向けのお話を書いてみようと思います。

この記事を読んだ方が、ヘーベルハウスを是非選んでほしいとは一ミリも思っていません。
良いことも悪いことも忖度なく書いていこうと思います。


 

ヘーベルハウスの特徴

ヘーベルハウスの特徴については、公式ホームページを含め色々なブロガーやサイト運営者が触れています。
ヘーベルハウスについて調べていて、最初にこのブログにたどり着くこともないでしょうから、ここで改めて説明はしません。

一般的に言われているヘーベルハウスの特徴について、ここでは敢えて注意書きを含めた解説を行っていこうと思います。

 

ヘーベルハウスの耐震性

日本はその国土の特徴と歴史から、兎に角災害が多いことはよく知られています。
311の大震災等の大地震や台風などによる水害など、近年も沢山の災害に見舞われています。

特に地震については1894年に日本で最初の耐震基準と言われる「木造耐震家屋要領」が制定され、その後大正時代の関東大震災など大地震の度に見直されて、現在の基準へと至っています。
日本の建築行政はとにかく耐震性の強化に力を入れてきたと言っても過言ではないでしょう。

ほぼすべてのハウスメーカーは耐震性については謳っています。
日本の建築物はとにかく耐震性は何よりも重視されてきた歴史があるので、当然の流れですが…
ヘーベルハウスは多くのハウスメーカーの中でも耐震性を特に売りにしています。

そこで、ここではヘーベルハウスの耐震性について扱います。

 

耐震等級3

このブログに辿り着いているということは、今更耐震等級について解説するまでもないと思うので解説は省きますが…
ヘーベルハウスは全棟耐震等級3を売りにしています。

家造りのために情報収集している方なら、耐震性能は壁量計算ではなく許容応力度計算での耐震等級3が必須だという意見に触れることも多いでしょう。
ヘーベルハウス(というか鉄骨住宅やRC住宅のハウスメーカー全般に言えますが)は、4号特例も当てはまらず全棟許容応力度計算による耐震等級3です。
床材をフローリングからタイルに変更するだけでも再計算されます(我が家です)。

許容応力度計算による構造計算をしているか?という点について、ヘーベルハウスについては何ら心配はありません。

 

耐震性が高いから揺れない訳じゃない

さて、ここでたまに見かける誤解について触れておきましょう。
ヘーベルハウスを建てたのに地震の時に凄く揺れるから、耐震性は大したことはないんじゃないか?という意見です。

建物の構造は大まかに二通りに分かれており、ラーメン構造と壁式構造です。
  • ラーメン構造は柱と梁で構造を支えます(木造軸組工法所謂在来工法も広義にはこちらに属すると考えてください)
  • 一方、壁式構造は壁という面で構造を支えます(ツーバイフォー等のパネル工法など)
どちらが優れているか?と単純比較できるものではなく、それぞれに特徴があり、耐震に対するアプローチが違います。

柱と梁で構造を支えるラーメン構造は、地震の揺れに対してしなることで地震の揺れに耐えます。つまり、地震の時に揺れるようにできています。
一方、壁式構造の場合は壁の面で支えるため、しならずにがっちり建物を支えるため、ラーメン構造に比べて揺れ自体が少なくなります。

ヘーベルハウスの場合、ラーメン構造であるため2×4工法の家などと比べると揺れを大きく感じやすくなります。
巨大地震が想定されている静岡発祥の一条工務店の家は、温熱性能だけではなく耐震性にも力を入れていますが、壁式構造なので同じ地震に遭った時にヘーベルハウスよりも一条工務店の家の方がより揺れを小さく感じるでしょう。

つまり、そもそも耐震のアプローチが違うので耐震性が高い!と評判のヘーベルハウスは、実は地震の時には揺れを感じやすい家でもあります。
この点を気にする人は、ヘーベルハウスを含めた鉄骨住宅はあまりお勧めできないかもしれませんね。

※揺れを感じやすいとはいえ、近年のヘーベルハウスでは制振装置が標準搭載されており、揺れ自体を緩和するための工夫は行われています

 

比類なき壁は耐震性能に寄与していない

ヘーベルハウスの特徴といえば、「比類なき壁」のキャッチコピーでも有名なドイツから技術供与されたALCパネルである「ヘーベル」の壁ですね。
このヘーベルですが、実は耐震性には寄与していません。

前のセクションでも触れましたが、ヘーベルハウスはラーメン構造であるため壁は耐震性を担保する耐力壁ではありません。
ヘーベルハウスの壁は所謂カーテンウォールであり、ロッキング工法と呼ばれる工法で鉄骨にぶら下がっているだけです。

ヘーベルの壁は地震から家を守っているわけではないということは覚えておいてください。

なお、床にもへーベル版を敷き詰めているのですが、これについては耐震に多少は寄与していて、床面を剛性床とすることで水平方向のずれを抑える役目は果たしています。

 

ヘーベル壁の役割

先のセクションでは、ヘーベルハウス最大の特徴であるへーベル版は耐震性に寄与していないというお話をしました。
では、ヘーベルはいったい何の役に立つのか?
ここでは、ヘーベルハウスにおいてへーベル版が果たす役割について扱います。

 

防火壁である

へーベル版を含むALCの最大の特徴の一つは高い耐火性能です。
一方、鉄骨含む鉄というのは熱に弱いです。350℃~500℃で鉄の強度は極端に落ちます。
住宅火災では3メートル離れても840℃近くまで熱くなります。

実は鉄骨住宅というのは火災に弱いのです。

自分の家が燃えなくても隣家が火災になると、隣家の火災の熱により需要な構造部材である鉄骨が劣化して、家が崩れてしまう恐れがあります。
911テロで鉄骨でできたWTCビルが火災により一気に崩壊した様子を見たことがある人も多いかもしれません。

そこで、ヘーベルハウスでは耐火性能の高いALCであるへーベル版を外壁に採用することで隣家の火災から家を…鉄骨を守るという構造を採用しています。

ヘーベルハウスは首都圏をはじめとした都市部を中心に展開しているメーカーであり、日本の住宅事情はどうしても密集住宅となってしまいます。
一軒から火の手が上がると、次々に隣家がもらい火をして一気に火災が広がるのは、関東大震災や東京大空襲で経験してきています。

そのため、ヘーベルハウスのALCへーベル版はそういった隣家の火災が延焼しない様に防火壁としての役割が大きい訳です。

※一部木造住宅メーカーでも、隣家が近い場合には防火壁としてALCボードを外壁に用いるケースもあります

 

遮音壁である

ALCの特徴の一つとして、遮音性が高いというものがあります。
75ミリのALCパネル単体で、約35dBを軽減する性能があると言われています。

たまにへーベルメゾン(ヘーベルハウスの集合住宅)で、隣の部屋の音が聞こえるから遮音性はあまりよくない!という声を見かけますが、部屋と部屋の間の間仕切り壁がへーベル版じゃないケースもあります。
へーベルメゾンを検討しているなら、部屋と部屋の間仕切り壁をへーベル版にすると遮音性がよくなりますが、その分高くなるので、コストとの見合いでしょうかね。

 

耐久性が高い

ヘーベルハウスの営業は必ず言うキーワードの一つに、ヘーベルは耐久性が高い!というものです。
実際に、材料としてのへーベル版はトバモライト結晶という無機質素材でできており、熱や酸化に強く、腐りも劣化もしないと言われています。

確かに、腐ったり劣化して強度が落ちるといたことのない素材ではありますが、あくまで適切な施工を行った場合という条件付きになります。

 
ALCの弱点
ALCへーベルは、軽量気泡コンクリートです。つまり、スポンジ状になったコンクリートですね。
耐火性が高いとか遮音性が高いとか、耐久性が高いとメリットも多いのですが、以下の弱点があります。
  • 防水性が悪い
  • 打撃に弱い
ALCは先にも述べた通り、スポンジ状になっているので、内部に水が浸透しやすいという特徴があります。
水には岩をも浸食し削る力があります。水が浸透しやすいということは、浸食も起こりやすいということになります。

また、水は氷結すると体積が増えるという特徴があり、もしALCの内部に水分が入り込んだ状態で氷点下になると、内部の水分が氷結して内側からクラックしてしまう恐れがあります。
明確には言われていませんが、ヘーベルハウスは北海道・東北や北陸と言った雪が多く降る寒い土地で展開していないのは、この問題があるからとも言われています。

打撃に弱いという点も、意外と見落としがちな弱点です。
スポンジ状のコンクリートですので、通常のコンクリートと違い叩いたり削ったりしやすい特徴があります。ちょっとぶつけると端が簡単に欠けたりします。
耐震性のセクションでも触れましたが、へーベル版は耐震性に寄与はしていないので多少欠けたりしたところで、家が崩れるということはないのですが、家の外壁がそう易々と欠けてしまうのも問題です。

ただ、この打撃に弱いというのも局所的に硬いものを打ち付けた際に欠ける程度のお話であり、面材としての耐久力については木の板などと比べると遥かに強いので安心してください。

 
弱点を補うためのやること
上記の通り、ALCへーベル版には弱点があると触れましたが、この弱点を補うために大切なのは防水処理です。

ヘーベルハウス(ALCパネルを外壁に使う建築物一般も含む)では、へーベル版とへーベル版の間の隙間にコーキングで防水処理を行います。
また、防水塗装を全面に3層施すことでこの課題をクリアしています。

ただ、コーキングも防水塗装もへーベル版本体よりも長持ちしません

つまり、これら防水処理をメンテナンスしなければへーベル版をしっかり長持ちさせることはできません。
このメンテナンスですが、立地環境によっては早ければ約10年ほどで必要になるケースもあるそうです。

ヘーベルハウスの外壁メンテナンスには数百万(200万~400万と言われています)がかかるそうです。

もし何かぶつけたりなどして塗装が欠けたり剥がれたりすると、その部分から水が浸透してしまうので、もしそういう損傷を見つけたら直ちに処置を行う必要があります。

 

断熱性

ヘーベルハウスは、ALCの断熱性をやたら押してきます。
確かに、普通のコンクリートと比較すると約10倍の断熱性能を有しています。
熱伝導率W/m・Kで言うと、0.15。コンクリートは1.6なので確かに約10倍ですが、木材は0.12ですので、同じ位と言ったところでしょうか。

しかし、ALCは断熱材にはなりえません

10年以上前のヘーベルハウスでは、へーベル版に断熱性があるからわざわざ断熱材を施工する必要なしとしていた時期があったようですが、2020年時点でそんなことはやっておりません。

営業マニュアルにその通り書いてあるのかもしれませんが、ALCへーベル版は断熱性が高いので、断熱性能が良い家になる!と言われます。
断熱性が良いのはあくまでコンクリートと比べての話であり、一般的な断熱材であるグラスウールの三分の一から四分の一の断熱性能です。

へーベル版があるから断熱性が高い!と勘違いしない様に気を付けましょう。

 

ヘーベルハウスの気密性・断熱性

色々調べている方は重々ご存じだとは思いますが、ヘーベルハウスの気密性や断熱性は、断熱性能等級で定められた等級4を何とか満たす、ZEH仕様にしていた場合はその要件を何とか満たす程度のものです。

気密性や断熱性を重視しているのであれば、ヘーベルハウスを選ばないことをお勧めします。

ただ、そこまで拘らないけどネットなどでは寒い寒い言われるけど実際どうなの…?という声もあるので、実際にヘーベルハウスで一冬Tシャツ短パンで過ごした私の個人的な感覚ですが(身体は道産子仕様)、エアコンを24度自動運転設定にして付けっぱなしにしておけば、Tシャツ短パンで過ごせます。まあ、神奈川県なのでそもそも氷点下まで気温が下がるようなこともほぼないのですがね…

もう少しヘーベルハウスの断熱性能について詳しく調べたお話は以下のブログを参考に読んでみてください。


 

まとめ

以上、ヘーベルハウスを選ぶ上で知っておいた方が良い基本知識としてつらつらと書かせていただきました。

ざっくり箇条書きにまとめると…
  • 耐震性は高いけど、家自体は地震で結構揺れるよ(揺れるように作ってあるよ)
  • へーベル版の比類なき壁に耐震性はないよ
  • 実はへーベル版は火事から家を守るのが最大の目的だよ
  • 意外と遮音性は良いよ
  • へーベル版は水に弱いから防水塗装やコーキングの定期メンテをサボると大変だよ
  • へーベル版の定期メンテの費用はめっちゃ高いよ
  • 営業さんはへーベル版の断熱性の高さをアピールするけど、へーベル版は断熱材には全然足りない性能だよ(ヘーベルハウスの断熱はネオマフォームがメイン)
  • 気密性や断熱性は今や最低限度基準の等級4、ZEH程度の性能しかないよ
とこんなところです。
これらを知ったうえで、それでも堅牢なヘーベルハウスを選ぶのだ!とあなたが決めたのであれば、あとから「やっぱりあれが不安だな…」となることも少なくなるでしょう。

あと、建築費用も高いけど、メンテナンス費用も高いってことを(営業はあまり言わないけど)しっかり知ったうえで選んでくださいね。

 

では、今回はこんなところで。

ABOUTこの記事をかいた人

2020年に神奈川県川崎市で、共働きDinks夫婦でヘーベルハウス(FREX AXiii)で家を建てたヘーベリアンです。 建築学科卒業という経歴と、ノンバンクとはいえ貸金業界に居た経験から、(ヘーベルハウスに限らず)注文住宅建築を検討されている方々に、施主目線での資金計画から建築会社選び、施工行程等を知識と経験をベースにお伝えできればなと思っております。

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