断熱材のお話①:熱伝導率と厚み

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クロセの記事を読むのが初めての方は、まずこちらの記事をお読みください。

 

ども、クロセです。

今回も引き続き、家の温熱にかかわる話をしていこうと思います。

ええ~まだするんかいな~。
そんなことよりアイ工務店の話してよ~。

…という声が聞こえてきそうな気がしますが。
まあまあ、そうあわてないでくださいな。

お上からの情報でハウスメーカの情報を要求する声が強いのはわかっております。

わかっているのですが…

そのあたりは高高住宅を建てられる業者選びに必要な情報を説明してから、実践編的な感じで解説していきたいという意図がございまして。

そんなわけでしばらくこういった話にお付き合いいただきたいわけなんですよ。

…まあ話としてとっつきにくいし興味が持ちにくいというのは理解しておりますが、そこをぐっとこらえてみていただければ快適な家づくりにつながると思います。

何卒ご拝読のほどよろしくお願いしたくm(_ _)m

 

閑話休題

 

今回からは断熱材の話をしていこうと思います。

色々なハウスメーカをめぐっていると

グラスウールは燃えないのでいい!
吹付ウレタンは気密がとりやすい!
セルロースファイバーは調質性がある!

といった感じで自分のところで使っている断熱材については肯定的であり、一方で他社が使っている断熱材について否定的な意見を聞くことになるんじゃないかと思います。

ただ、個人的に断熱材は正しく施工されていれば何を使っても構わないと思っており、断熱材の解説の中でそういった誤解を解いていければいいかなあと思っています。

その中でも今回は熱伝導率と厚みの話をしていこうと思います。

断熱性能は熱伝導率と厚みで決まる

業者のHPをみていると「高性能な断熱材を使っています!」みたいな宣伝していたりしますが、どんなに高性能な断熱材でも厚みが薄いと大した性能にはなりません。

一方で、一般的に使用されることが多いグラスウールは熱伝導率の点でいうと「普通」という感じなんですが、厚みを確保してあげればしっかり断熱してくれます。
(個人的にはグラスウールはかなり優れた断熱材だと思っています)

さて、この時に厚みと熱伝導率から示される断熱性能を「熱抵抗値」というのですが、その値は以下の式で算出することができます。

熱抵抗値 = 断熱材厚み[m] ÷ 熱伝導率[W/mK]

このとき、断熱材厚みの単位が[m]であることにご注意ください。
(100mmの場合は0.1mとして計算します。)

各断熱材の熱伝導率は適当にGoogleなどで検索すれば出てくると思います。
良く使われる値は以下でしょうか。

高性能グラスウール16k 0.038
ロックウール 0.038
吹付ウレタンフォーム 0.040
硬質ウレタンフォーム 0.024
ネオマフォーム 0.020

この辺の値は、製品によっても微妙に変わりますので、気になる方は担当の営業さんなんかに聞くといいでしょう。

この熱伝導率が低いほど熱を通しにくい=高断熱な素材なわけですので、この中だとネオマフォームが一番いい断熱材ということになるでしょう。

しかし、先ほども説明したとおり、大事なのは「厚み」「熱伝導率」です。

下の図を見てください。



素材の性能だけでいえばネオマフォームは高性能グラスウール16kの2倍熱を通しにくいわけですが、グラスウールが2倍以上あればそちらのほうが断熱性能が高くなります。

以上のことからすごい断熱材を使っているから断熱性能が高い!

ではなく…

厚みと熱伝導率から算出できる熱抵抗値が高いから断熱性能が高い!
ということを覚えおいてください。

余談ですが「高性能グラスウール」と書いているとすごい性能のグラスウールに感じますが、現在においては標準的な断熱材です。

一昔前のグラスウールに比べて高性能というだけですので、そのあたり勘違いしないように気を付けてください。

時々、展示場の説明なんかでも「うちは高性能グラスウールを使っています」というのをすごいことのように話す営業さんがいますが、別に特別なグラスウールではございません。

高性能な断熱材の意義について

前述の通り、厚みさえ確保すればどのような断熱材でも断熱性能を高められることがわかりました。

前述した断熱材の中ではグラスウールが安いため、グラスウールを分厚く使えばいいじゃないと思うでしょうが、床下や壁に断熱材を入れられるスペースは限りがあります。

一応、付加断熱という壁の外に断熱をする方法があり、この方法であれば理論上は断熱材をかなり分厚く使えます。


ただ、付加断熱は対応していない業者も多く、費用も結構高いです。

加えて、断熱材を分厚くしてしまうと、家が大きくなってしまうため狭小地ではそこまで分厚くできないということもあります。

そういう場所では薄くても高性能な断熱材が有効になるわけです。

適切な熱抵抗値について

前述の通り、大事なのは「断熱材の厚み÷熱伝導率」で算出される「熱抵抗値」であることは説明しましたが、その適切な値はどれくらいなのか。

答えは…

 

 

わかりませ~んwww

あ、やめて…そんなに怒らないで…

 

まじめな話、そこまで単純なものではないのですよ。

地域によっても変わりますし、どれくらい快適に過ごしたいかでも変わりますし。

結局のところそこは本物の高高住宅を設計している専門家の人たちに相談しながら、各々にとって最適な値を決めていくしかないのです。

 

ただ、個人的には高性能グラスウール16kを断熱材として使う前提で行くと、

屋根(天井)200mm、壁100mm、床下100mm

ぐらいの厚みは最低限あったほうがいいのではないかと思います。
(熱伝導率が半分のネオマフォームなら屋根100mm、壁50mm、床下50mmとなる)

壁と床下はこれぐらいであれば特別なことをしなくても入れられる断熱材厚みです。
(工法によって若干変わりますがここでは割愛)

屋根は壁や床下に比べると特別なことをしなくても多めに入れられますし、夏の日射による暑さから守るためと、冬の屋根から逃げる熱を閉じ込めるため多めに入れます。

そのため、屋根の断熱材厚みは大体壁の1.5倍~3倍くらいの厚みにされることが多いです。

ただし、省エネ区域6地域であればこれでもある程度快適に過ごせると思いますが、それよりも寒い地域の場合はもっと厚く入れてもいいような気がします。
(あくまで個人的な感想です)

終わりに

今回は断熱材の性能にかかわる熱伝導率と厚みのお話をしてみました。

重要なポイントは以下の通りです。
・断熱性能(熱抵抗値)は断熱材の熱伝導率と厚みで決まる
 ⇒高性能な断熱材でも薄ければ大したことはない
・屋根(天井)の断熱材は壁や床下よりも1.5倍から3倍くらい厚めにする
・高断熱にしたい場合、屋根(天井)、壁、床下の断熱材はそれぞれ
高性能グラスウール16k相当で最低200mm、100mm、100mmはほしい

重ね重ね言いますが、最後の項目は省エネ区域6地域を想定していますので、それより寒い地域の人はもっと入れておいたほうがいいかと思います。

予算に余裕があるなら業者の方とよ~く相談して最適な性能にしましょう。

決して私のような素人に決めてもらうべきではありませんし、光熱費だけ出したようなざっくりとしたシミュレーションしか出さないような人も良くありません。

各部屋がどれくらいの温度になるか、そのための光熱費がどれくらいかかるかなど細かく計算してくれる人にお願いすることをお勧めします。

では。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

2020年2月からアイ工務店と一緒に建てたマイホームに居住中。 家の中が寒いのがいやだというところから家づくりを開始した結果、高断熱高気密という言葉に出会う。 以降、いろいろ調べているうちに高断熱高気密の沼にはまり、使者を自称するようになる。